ひきこもり35年の息子が変わり始めた 自分を責めた母が出した勇気

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永田豊隆
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 私の育て方が悪かったせいで――。

 大阪府の女性(74)は35年間、そう自分を責め続けた。

 悩みは、自宅に引きこもったままの長男(51)だった。

 女性は誰にも相談できず、心配も焦りもひとりで抱え込んだ。周囲に知られないよう、徹底して隠しとおした。

 70歳を過ぎ、次第に不安が大きくなった。「自分がいなくなったら、この子は……」

 昨年夏、少しだけ勇気を出してみた。いま、予想もしなかった変化が起き始めている。

 ひきこもりの高齢化、長期化が社会問題になっています。女性と長男がたどった道を紹介するとともに、記事の後半ではひきこもりに悩む人の相談先もご案内します。

 始まりは高校1年生だった。

 1学期が終わると、突然、「もう僕のためにお金を使ってもらわなくていい」と言い出した。

 いじめに遭ったのか。勉強に…

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この記事を書いた人
永田豊隆
ネットワーク報道本部|大阪駐在
専門・関心分野
貧困問題、社会保障、精神科医療、依存症
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    上西充子
    (法政大学教授)
    2024年7月23日21時52分 投稿
    【視点】

     永田豊隆記者がコメントプラスで触れておられるように、生活保護によって生活が支えられたことは、この親子にとって大きな意味を持ったものと思われます。経済的に立ち行かない、打開策が見えない状況に陥ると、「もう、どうしようもない」と心理的に追い詰

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    岩本菜々
    (NPO法人POSSE理事)
    2024年7月26日18時28分 投稿
    【視点】

    ・「貧しい家族の美しい助け合い」なんて虚構だ どんどん「公助」を活用しよう!  相談現場には、この家族のように、高齢の親と、労働問題や虐待などがきっかけで働けなくなった単身の子供、という世帯からの相談が珍しくありません。 その中には、「引

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