東工大学長が学費論争に抱く違和感 まず国立大学のあり方を論じよ
聞き手 シニアエディター・尾沢智史
東京大学の学費値上げの是非が議論になっています。国立大学としていち早く学費値上げに踏み切った東京工業大学の益一哉学長は、学費の問題だけに焦点が当たることに違和感を覚えるといいます。「国立大学のあり方そのものを議論すべきだ」という益学長に、国立大学の進むべき方向とは何かを聞きました。
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いまの学費値上げをめぐる論調には違和感を覚えます。国立大学のあり方そのものを問うべきなのに、学費の問題だけに焦点があたっているからです。
国立大学は、国家を担う人材を養成する機関として設立されましたが、今や国家のみならず産業界や社会の要請、さらにはグローバルな課題の解決に対して、教育だけでなく研究においても貢献することを求められています。いわば社会の公共財へと役割が変化しており、様々なステークホルダー(利害関係者)にいかに役立てるか、その一方でそれらのステークホルダーにいかに支えてもらうかという議論が不可欠です。
将来を担う人材を養成する高…