第8回「魔の九回」再来でも… 関西エースが「魔物はいない」と言う理由

有料記事魔物の正体

大坂尚子
[PR]

 第88回全国選手権(2006年)1回戦

 関   西(岡山)030010501 10

 文星芸大付(栃木)000022034 11

 自身の前に転がったボテボテの当たりだった。素手で取り、素早く振り返って一塁へ送球した。

 「よっしゃー! 打ち取った、と思ったんです。でも投げた瞬間、終わったと思いました」

 送球は一塁手のグラブをすり抜け、ファウルゾーンへ転がった。関西(岡山)のダース・ローマシュ匡(たすく)にとって、再びの「魔の九回」だった。

 第88回大会(2006年)。文星芸大付(栃木)との1回戦で、右腕は1点リードの六回2死満塁で救援した。

 1点を失ったが、後続を断つと、終盤に味方打線が奮起。3点リードで九回裏を迎えた。1点差に詰め寄られたが2死走者なしまでこぎつけた。2番打者の打球を自ら処理して試合終了、のはずだった。

 しかし――。

 「送球が悪かったとも思ったけど、当時は(一塁手が)捕ってくれよ、と思ってしまった。人のせいにすることで、自分は大丈夫だと思いたかったのかもしれない」

 3番打者に同点打を許し、なおも2死二塁。1年前の苦い記憶が、頭をよぎった。

 「同じことを繰り返したらど…

この記事は有料記事です。残り854文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
大坂尚子
スポーツ部
専門・関心分野
野球、アメフト、フィギュアスケート、陸上
甲子園球場100年

甲子園球場100年

甲子園球場が誕生して100年。建設当時の姿を3DCGモデルで再現しました。思いを語るインタビューも[もっと見る]