第6回ノーヒットノーラン目前からの敗北 僕は「悲劇の主人公」だったのか

有料記事魔物の正体

山下弘展
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 ◇第66回全国選手権(1984年)1回戦

  境 (鳥取) 0000000000 0

 法政一(西東京)0000000001 1

          (延長10回)

 まだホームランを打たれただけだ。40年前の8月11日、境(鳥取)のエースだった安部伸一は甲子園のマウンドでそう思っていた。

 第66回大会(1984年)。法政一(西東京、現・法政)との1回戦は、両チーム無得点のまま延長に。10回2死まで得点はおろか、1本の安打も許していなかった。初めて打たれた安打が、本塁打。安部は左中間のラッキーゾーンに入った打球を見送った後、身をかがめてロージンバッグを触った。

 「わかってなかった。試合が終わったなんて。『次のバッターに投げないと』、と思っていた」。二塁手が駆け寄ってきて「ナイスピッチング」と肩をたたいた。

 そこで、現実を理解した。

 この試合は、自分でも驚くく…

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この記事を書いた人
山下弘展
スポーツ部次長
専門・関心分野
野球、スポーツと地域活性化、企業とスポーツ
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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2024年8月4日12時1分 投稿
    【視点】

    法政一と境の部員たちはその後も交流が続いている。素敵なエピソードだと感じます。 思い出した話があります。 故星野仙一さんも倉敷商(岡山)時代、これに勝てば甲子園という最後の夏の東中国大会決勝で、米子南に惜敗。家の押し入れで大泣きしたそうで

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