男性中心だった医療からの脱却 日本で求められる「性差医療」とは
女性の健康課題に対する研究・診療を推進するナショナルセンター機能として、国は10月1日、「女性の健康総合センター」を国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の中に開設する。女性特有の疾患に加え、日本で取り組みが遅れていると指摘される「性差医療」を後押しするため、今後女性の健康に関するデータの収集・分析や情報発信、診療を担う。
センター長に就任する小宮ひろみ医師(前・福島県立医大付属病院性差医療センター教授)に、こうした医療が求められる背景について聞いた。
――「性差医療」とは何でしょうか。
男女で罹患(りかん)率に明確な偏りがある疾患や、発症率は同じでも、男女間で臨床的に差がある疾患、生理的・生物学的な解明がどちらかの性別で遅れている疾患、そして社会的な男女の地位と健康の関連などに注目し、それらを疾病の診断や治療、予防へと反映することを目的とする医療です。
女性に特有の疾患もありますが、女性の健康を推進する上での「性差医療」とは、男女ともなる病気に関して「じゃあどうして女性の方が多いのか」「女性はどんな症状が出やすいのか」といった部分を深めていく医療だと考えています。
性差医療の概念は1990年に米国で提唱され、日本では90年代後半に導入されました。
医療の中心ではなかった女性
――「性差医療」はなぜ女性側に重きを置いているのでしょうか。
今までの医療・医学というの…