第1回「愛国」に横たわる排外主義 ドイツで台頭する右翼に見るナチスの影
「ナチスにノーを」「我々は反ファシストだ」――。
ドイツ東部チューリンゲン州の議会選投開票日の9月1日夕、州議会議事堂の周辺は騒然としていた。移民排斥などを掲げ、「極右」とも呼ばれる右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に反対する数百人の市民が集まり、声を上げていた。
参加した団体職員のユリアンさん(29)は「この選挙結果はすべての市民が望んでいることではないというメッセージをはっきりと示すためにここに来た」と話した。
この選挙で、AfDは2013年の結党以来、州レベルで初めて第1党になり、「ドイツの歴史的な転換点」との受け止めが広がった。ナチスの過去を持つドイツは、第2次大戦後、右翼政党の伸長を強く警戒してきた。にもかかわらず、「極右」政党が初めて州第1党の座を獲得したからだ。
同じ9月、AfDは東部のザクセン、ブランデンブルク両州議会選で第2党になった。移民の流入や経済の低迷に対するショルツ政権への不満などを背景に、全国世論調査でも政党支持率で2位につけ、いまやドイツの「主要政党」の一つになっている。
【連載】揺らぐ国是 ドイツ右翼の台頭(全5回)
ナチスの過去から過激な右翼主義を警戒してきたドイツで、極右とも呼ばれる政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が支持を広げています。「反ナチス」の国是を揺るがしかねない右翼台頭の背景を探ります。
欧州で広がる右翼政党の台頭という波が、ドイツにも本格的に押し寄せてきた。そう感じさせる出来事だった。
演説で禁止のナチスのスローガンも
AfDの特徴は、ドイツでは…
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