「家族だんらん」の押しつけか 「年末年始がつらい」は社会的な問題

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聞き手・中野浩至
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 もうすぐクリスマス、そして新年がやってくる。世の中がお祝いムード一色に染まる一方、そんな空気感が苦手だという人もいる。年末年始になるときまって家族だんらんが求められるような風潮に、息苦しさを感じているのだという。

 「家族だんらん」とは何なのか。なぜ絶対的な「善」とされてきたのか。現代家族のあり方について研究してきた社会学者の神原文子さんに聞いた。

    ◇

 「家族だんらん」という考えは、明治期に欧米から日本に持ち込まれた「スイートホーム」という言葉に由来すると言われています。

 ただ戦前は、家父長的家族制度に基づく男尊女卑の価値観が強く、跡取りの長男だけが優遇されるなど子どもの間にも序列がつけられていて、家族で楽しく食事をしたりおしゃべりしたりすることは必ずしも一般的ではなかったようです。

 戦後の高度経済成長期以降、人びとの暮らしは、ムラ社会における、近隣住民も含めた大きな「家」という単位から、都市社会の核家族単位に移っていき、その中で「家族だんらん」という価値観が大衆化したと言えそうです。

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この記事を書いた人
中野浩至
東京社会部
専門・関心分野
税務、事件・事故
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    BossB
    (天文物理学者・信州大准教授)
    2024年12月20日11時0分 投稿
    【視点】

    実は私は、正月も好きではないが、クリスマスはそれ以上に嫌いである。 海外に住んでいた時は、クリスマスは西洋で過ごしてから、年末は日本の実家に戻って母親と時を過ごし、子供が小さい時は兄弟の子供たちと遊ばせながら、神社に行ったり、餅つきに参加したり、ってな具合で、いわゆる家族だんらんでした。今はできない、し、したくない。自分の子供にもそれを望まない。 日本に住んでいるから、すぐ、母親に会える。しかも私は時間に縛られることのない仕事を持つ。子供は大きくなったので遊ばせる必要がない。年末年始は人が多く、ストレスがたまる。クリスマスは人々を洗脳して消費をあおっているようにしか思えない。アメリカのBlack Friday(年末大量消費の始まりー感謝祭の次の日)まで21世紀の日本にはある!クリスマスは恋人の日、ってそれ何? 西洋でも日本でも世界全体が貧しかった時の特別な日、家族だんらんで、普段食べないごちそうを食べて、働かなくてもいい日、お年玉やプレゼントがもらえる特別な日。正月もクリスマスも原点に戻り、貧しい人々、家族のいない人々、様々な理由で孤独だったり苦しんでいる人々への施しの日になるといいと思いました。

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2024年12月20日11時0分 投稿
    【視点】

    【今どきの大学生も男尊女卑の「年末年始がつらい」】ちょうど学生たちの日本のジェンダー不平等について意見を出してもらっていたところです。今どきの大学生も田舎の男尊女卑の年末年始に疑問を感じる学生が一定数。 たとえばこのような「年末年始がつら

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