デフレと闘った25年 「金融政策の限界明らかに」日銀元副総裁語る
2013年から約11年にわたった「異次元」の金融緩和策は日本経済にどのような効果と副作用を残したのか。中曽宏・大和総研理事長は13年から5年間、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)・前総裁の下で副総裁を務めた。10日に朝日新聞のインタビューに応じ、当時の思いや緩和策の総括を語った。
――25年間の日銀の金融政策を振り返る「多角的レビュー」が19日に公表されます。
「日本経済がバブル崩壊後、デフレに陥った25年間に、様々な非伝統的金融政策を投入した日銀の『デフレとの闘い』を総括したものだと理解しています。私自身にとっても、様々な局面でデフレとの闘いに参戦し、『何とかしなくては』との思いに駆られながらの25年間でした。その間のどの政策が成果を上げ、何がうまくいかなかったのか、という評価が明らかになるのだろうと思っています。まるで成績表をもらうような気持ちです」
――なぜ非伝統的金融政策が始まったのでしょうか。
「日銀はバブル崩壊後のデフレに対処するため利下げを繰り返したため、00年初めには政策金利が0%まで低下し、短期の政策金利を引き下げるという意味での『伝統的な金融政策』を発動する余地がなくなりました。その状況下でもさらに金融緩和を強めるために、非伝統的金融政策を開始しました。日銀は非伝統的領域を奥へ奥へと進み、13年には当時の黒田総裁のもとで異次元緩和を始めました」
――異次元緩和の開始当時の思いは。
「異次元緩和は、短期政策金…