北朝鮮の金正恩総書記「最強硬対米戦略」 トランプ次期政権見極めか

北朝鮮の核・ミサイル開発

ソウル=貝瀬秋彦
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 北朝鮮の朝鮮中央通信は29日、朝鮮労働党の重要政策を議論する中央委員会総会が23~27日に開かれ、金正恩(キムジョンウン)総書記が「最強硬対米戦略」を示したと伝えた。ただ、戦略の具体的な内容は明らかにしておらず、来年1月に発足するトランプ米次期政権の出方を見極めようとしているとの見方が出ている。

 同通信によると、金氏は米国を「反共を国是とする最も反動的な国家的実体」だとし、「米日韓同盟が侵略的な核軍事ブロックとして膨張し、韓国が米国の反共前哨基地になっている」などと指摘。そのうえで、「国益と安全保障のための最強硬対米対応戦略」を示したという。

 また、国防科学技術や防衛産業を発展させて「自衛的戦争抑止力」を強化するための戦略的・戦術的な方針を明らかにしたとしたが、核開発などに関する具体的な言及はなかった。

 これについて韓国の専門家は「『最強硬』と言いつつ核戦力などへの言及がないのは、トランプ氏の対北朝鮮政策が不透明な中で、慎重に対応を見極めようとしているからだ」とみる。

 一方で金氏は、北朝鮮軍について「現代戦の要求と様相に対処して作戦・指揮の情報化と現代化に拍車をかけ、戦争遂行能力を絶えず向上すべきだ」と述べた。北朝鮮はウクライナ侵攻を続けるロシアに兵士を派遣し、現代戦の経験を積ませようとしていると指摘されており、それを意識した発言ともみられている。

 金氏はまた、地方の振興計画や水害からの復興などの成果を強調。首相が金徳訓(キムドクフン)氏から朴泰成(パクテソン)氏に交代するなど、幹部の人事も行われた。

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この記事を書いた人
貝瀬秋彦
ソウル支局長
専門・関心分野
朝鮮半島、東南アジア、核問題、人権問題
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