シリア暫定政権主導の過激派組織解散へ 指導者「選挙準備に4年」

イスラエル・パレスチナ問題

イスタンブール=根本晃
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 シリアの暫定政権を主導する過激派組織「シャーム解放機構」(HTS)の指導者アハマド・シャラア氏は29日、中東の衛星放送局アルアラビアのインタビューに、アサド前政権を倒した反体制派の中核だったHTSを近く解散する考えを示した。HTSは米国や国連、トルコなどからテロ組織に指定されているが、新体制の発足にあわせて組織を再編し、過激派色を払拭(ふっしょく)することで国際社会の理解を得る考えとみられる。

 シャラア氏は自身が率いるHTSについて「確実に解散されるだろう」と述べた。国内に割拠する他の武装組織も解散させ、暫定政権の統制下に置く考えとみられる。北東部一帯を支配し、米国の支援を受けるクルド人主体の「シリア民主軍」(SDF)とも交渉を続けているとし、最終的に政権軍に統合すると主張したが、SDFが統合に応じるかは不透明だ。

 シャラア氏はまた、新体制下で選挙を実施するまでに、4年の準備期間を要する可能性があると述べた。「有効な選挙を行うには、包括的な人口調査が必要」とし、準備に時間がかかるとの考えを示した。新憲法の制定には3年かかる可能性があるという。

 一方、暫定政権は28日、アサド前政権下で市民らの処刑や拷問、性的暴行に関与したとされる治安機関を全面的に解散し、暫定政権の治安機関を再編成すると発表した。シリア国営通信が報じた。

 また、ロイター通信がレバノンの治安当局筋などの話として報じたところによると、レバノンは28日までに、アサド政権崩壊時に逃れてきた同政権の将校や兵士ら約70人をシリアに送還した。帰還後、シリアの暫定政権が拘束したという。

 シリア暫定政権を主導する「シャーム解放機構」(HTS)の指導者は、これまで「ジャウラニ」氏と表記してきましたが、今後は「アハマド・シャラア」氏とします。暫定政権発足に伴い、同氏が対外的に本名を使うようになったためです。

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この記事を書いた人
根本晃
イスタンブール支局長|中東・欧州担当
専門・関心分野
国際政治、トルコ、ガザ、ウクライナ、語学
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