「途中参加できない」の壁を越え ヒロシマと向き合った元TBSアナ

有料記事被爆国から

聞き手・花房吾早子
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 核兵器の使用で世界を脅かす国があるなか、原爆投下から79年を迎えます。元TBSアナウンサーで兵庫県姫路市教育長の久保田智子さん(47)は4年前、「被爆体験伝承者」になりました。伝え手としての心の変化とは。

     ◇

 ヒロシマについて語ることなんて、私にはできないんじゃないか。長い間、そう思ってきました。

 親族に被爆者がいるわけじゃないし、ずっと広島で生きてきたわけでもない。中高生のとき、広島で平和教育を受けたものの、原爆の話は「昔話」にしか思えなかった。被爆者の苦しみを「おうたもんにしかわからん」とよく言いますよね。それを聞くと「もう何をやってもわからないことなんだ」と思ってしまって。

 転機は2016年。夫のニューヨーク転勤についていくため、TBSを辞めると決めたとき。「立場が自由になったら、私は何をしたいかな」。そう考えたら、なぜか自然と「広島のことが知りたい、戦争のことが知りたい」ってわき起こってきたんです。

 戦争体験について伝えるテレビ番組を作ったり語り継ぐ活動をしたりしている人って、すでにたくさんいる。私には途中参加できない感じがしていました。

 だから、テレビの視聴者に伝えるためではなく、私個人が向き合ってこなかった戦争の記憶をたどりたい。

 沖縄に行き、沖縄戦で住民たちが「集団自決」に追い込まれた自然壕(ごう)「ガマ」を訪ねました。特攻隊の出撃基地があった鹿児島・知覧にも。そして、広島平和記念資料館へ。

 被爆者の方のお話を聞きたい…

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この記事を書いた人
花房吾早子
大阪社会部|平和・人権担当
専門・関心分野
原爆、核廃絶、ジェンダー、LGBTQ+
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