第5回「全部食べる=正義」がつらい子どもたち 給食で自己肯定感がゼロに

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「完食指導」を考える 食べられない子どもたち 反響編(上)

 給食を残さず食べることを強要する「完食指導」。昨年10月に連載した「『完食指導』を考える 食べられない子どもたち」に対し、たくさんの反響が寄せられました。読者のみなさんの声とともに、識者への取材から考えます。

 名古屋市の女性(52)は、小食だった。小学1~2年のころ、給食を食べきれず、休み時間や掃除の時間まで、1人で席に残され、食べ続けさせられた。

 献立表を見て、食べられそうにない日は朝から熱が出た。学校は休みがちだった。

 心配した母から精神科病院に連れて行かれ、様々な検査を受けたが、病気とは診断されなかった。思い詰めた母に「病気じゃないなら学校に行けるでしょ」「(行けないなら)一緒に死のう」と言われた。

 「給食が食べられない人は生きていく資格がないのかと、7、8歳で自己肯定感がゼロになった」と、女性は振り返る。

 3年になって担任が代わり、給食があまり食べられないことを相談した。「無理しなくていいよ。はじめから少なく盛ってもらおうよ」と言ってくれた。救われた気分になり、不思議と食欲が湧いた。次第に、給食を減らすことも残すこともなくなっていった。

 ただ、完食指導の影響なのか…

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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・途上国教育専門家)
    2024年10月19日14時12分 投稿
    【視点】

    偏らない栄養バランスや、食べ物をお粗末にしない、食品ロスの軽減など完食指導にも正義はあるのだと思う。私自身、ご飯粒を残さないとか魚を綺麗に食べるなどの美徳は今でも誇りに思っている。しかし子どもの成長にとって失うものが非常に多く、将来にわたっ

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    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2024年10月20日7時11分 投稿
    【視点】

    ■『ドラえもん』にSEX MACHINEGUNS コンテンツから完食主義を考える  50歳の中年大学教員が、教え子や自分の子どもなどと接していて時代の変化を感じるのが「完食主義」である。アラフィフは学校でも家でも完食主義を叩き込まれた可能性

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