第10回「モンスター」を倒すために ハマスに両親殺された男性が選んだ道

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イスラエル平和活動家のマオズ・イノンさん(50)

 私は昨年10月7日、イスラム組織ハマスの攻撃で両親を亡くしました。その数日後に夢をみました。私とまわりの人たちの体は、戦争で傷ついていました。私たちが流した涙が、地面を覆っていた血を洗い流しました。

 精神的にも肉体的にも、悲しみと痛みの海で溺れているような感覚でしたが、私自身の癒やしのためにも平和の道をいこうと決めました。

【連載】イスラエル・パレスチナ 市民の声 ガザ戦闘1年

 イスラム組織ハマスの奇襲と、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの攻撃開始から1年。イスラエル、パレスチナの市民はどんな体験をし、いま何を思うのでしょうか。様々な立場の人びとに語ってもらいました。

 ハマスは両親だけでなく、罪のないユダヤ人を殺しました。イスラエル政府は、ガザの近くに住む両親に「安全を守る」と何度も約束したのに、失敗しました。復讐(ふくしゅう)したいと思ったこともありましたが、その考えにとらわれると、家庭で夫や父親でいられなくなる。自分を内側から破壊するような感覚です。私はハマスも政府も許そうと決めました。

 イスラエル人とパレスチナ人…

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この記事を書いた人
其山史晃
中東アフリカ総局長
専門・関心分野
中東、安全保障、地政学、テロリズム
イスラエル・パレスチナ問題

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