9月のJAL「どこかにマイル」は、鹿児島・松山・札幌・帯広の組合せを選びました。鹿児島なら指宿の断捨離リトリート、松山なら道後温泉、札幌なら支笏湖温泉と考えていたのですが、帯広に決定。駅周辺に温泉・サウナ付きの手頃なホテルがたくさんある帯広。長期滞在したいほど好きな街なので、喜び勇んで出発しました。
今回はプレミアホテルCABIN帯広へ。
森のスパリゾート北海道ホテルは、本格的フィンランドサウナで露天も水風呂もすばらしいのですが、繁華街からちょっと離れていて、ホテルにこもってしまいがち。
ドーミーイン帯広は、サウナに加えて露天にもテレビがあるので、ととのうことに集中できません。
十勝ガーデンズホテルは、テレビなしのサウナはいいのですが、外気浴ができません。脱衣所の横にスペースはあるのですが、覗き対策の目隠し設置がむずかしいのか、ドアに鍵がかかって外に出られませんでした。サウナ検索サイト「サウナイキタイ」の情報によると男湯のみ外気浴スペースがあるそうです。残念。
そしてようやく巡り合った最高の宿がプレミアホテルCABIN帯広。茶褐色のモール温泉に水風呂は井戸水汲み上げ、そして風が通り抜ける外気浴スペース。
ここは立ち寄り湯でもあるので、地元の人もいます。
サウナ、水風呂、外気浴のセットの合間に脱衣所に水を飲みに行ったところ、冷水器の前に車椅子。介助なしで入浴はできるけれど、長い距離は歩けないご婦人が一人で来ていたのです。
「ごめんなさい、邪魔で…」とご婦人。
「そんな、手を伸ばせば紙コップが取れるので、まったく問題ありません」と私。外気浴でしっかりととのっているので上機嫌です。
ご婦人は唐突に「すあま、好き?」と聞いてきます。すあま? 西日本出身の人間にはなじみの薄いお菓子です。
「私はすあまが大好きなんだけど、売っていないことが多くて。今日は和菓子屋さんで見つけてたくさん買ったから、食べてみて」と、買い物袋から紅白のお菓子を取り出して渡してくれました。
ピンクと白の色合いがかわいらしくて喜んでいると、ご婦人はもう一つ出して二個もくれました。ホテルの部屋でお茶を淹れていただきました。「十勝産だからおいしいですよ」という言葉通り、優しい甘さが気に入って、すっかり好物に。
大阪のおばちゃんはアメを配りますが、さすが北海道はスケールが大きい。自分がおいしいと思うものを旅人にも味わってほしいという純粋な親切心。
そろそろ私も、見返りを求めずちょっとしたものを配れる高齢の女性になりたいものですが、修行が足りずまだもらう側のようです。
思うように体が動かなくなって車椅子を使うようになっても、一人に温泉に来る。おいしいものを見つけたら、人に配る分まで買って気前よく渡す。まるで女神のように神々しいご婦人でした。そんな人生の先輩に会えただけでも、帯広に来た甲斐がありました。