やめられると思っていた…闇バイト自衛官が運び続けた「U」と「D」
闇バイトの結末は逮捕。
一度加われば、何度も犯罪行為をやらせられたあげく、「捨て駒」として切り捨てられる――。警察は、強く警告している。
2023年5月、滋賀県内で1人の自衛官が逮捕された。SNSで闇バイトを持ちかけられ、特殊詐欺に加担したという。
記者はその公判で、やめたくてもやめられない現実を目の当たりにした。
4月26日、大津地裁での初公判。証言台の椅子には、懲戒免職処分となって陸上自衛官の身分を失った被告(23)がいた。黒色の長袖Tシャツ、下は灰色のスウェット姿、伸びた髪の毛先は金色。
検察官が読み上げた起訴状は、8通にもなった。関わった事件の多さを物語る。
起訴内容をまとめると、他の共犯者らと共謀して23年4~5月、市役所職員などをかたって、滋賀県内外の高齢者10人からキャッシュカード計21枚をだまし取り、現金計約868万円を引き出したというもの。詐欺と窃盗の罪だった。
被告は起訴内容を認めた。高校卒業後、陸上自衛隊に入隊したのは、親孝行と自分磨きのためだったという。
借金150万円 「おばあちゃんに…」
検察側の冒頭陳述や読み上げられた証拠などで、事件までの経緯をたどる。
入隊して実家を離れ、20歳…