竹内紀子さんに聞く①
2021年11月9日に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんは、故郷の徳島で文学塾「寂聴塾」を開いていた。塾生の一人、竹内紀子さん(64)は徳島県立文学書道館の学芸員として、資料を整理し、寂聴展を企画する。「寂聴文学」を語る上で欠かせない存在の竹内さんに思い出を聞いた。
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寂聴さんとゆかりのある方々へのインタビュー連載です。随時更新しています。
――寂聴さんが亡くなって1年になります。
毎日のように先生の本を読んでいます。生き方を示してくれ、その本に支えられて過ごしてきました。これから、今までになされていない、先生の膨大な作品の研究が進むと思います。
――寂聴さんとの出会いはいつですか。
先生と同じ徳島出身です。教員になりたくて、1976年に高知大に進み、そのころから先生の本を読み始めました。最初に読んだのは19歳のとき、「いずこより」です。少女時代や結婚生活、出奔を描いた自伝小説です。地元が同じ作家という意識はそれほどありませんが、生い立ちや生き方に共感を持てました。
「いずこより」に出会ってから、先生の本を読み続けました。そのころ先生の文庫で出ていた作品は、大学時代にほとんど読みました。作家の文体は好みが分かれますが、私には読みやすい文体でした。
それに内容です。先生の生き方、自立した女性の強さに魅せられました。男ができても依存せず、ペン1本で生き抜く。安穏とした生活にとどまらず、今を破壊して新しいことを求めます。生き方のお手本です。
――70年代という時代背景も影響していますか。
記事の後半では、竹内さんが寂聴さんの文学塾に入り、寂庵でふたりきりの夜を過ごした思い出が語られます。
70年代は「女性も自立しな…
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