記者が撮った夜景写真にダメ出し 夜景写真家だから語れるアドバイス
本格的な冬を前に千葉県内でも空気が澄んできた。天高い秋、夜景撮影を楽しんでみてはどうでしょうか。県内各地の記者がそれぞれの夜景スポットで撮影に挑戦し、夜景写真家の中村勇太さんに講評してもらいました。
夜景撮影のセミナーを開催する「日本夜景オフィス」(神奈川県海老名市)の中村勇太さんのアドバイスが満載です。スマホで撮ってもOKです。
地上150メートルの絶景 バルブ撮影で鉄道に光の筋に
JR市川駅に隣接する市川市の「アイ・リンクタウン展望施設」では、地上150メートルの眺望が無料で楽しめる。超高層ビルの45階と屋上にある市の施設だ。
西側の東京都心方面は、高層ビル群などの光がかなたまで続く。手前を流れる真っ黒な江戸川とのコントラストも面白い。東京スカイツリーや東京タワーも見える。
南側の東京湾方面は、湾岸エリアのマンション群が連なる。東京ディズニーリゾートの花火も楽しめる。
今回は、都心から埼玉方面の写真に挑戦した。江戸川にかかる3本の橋を入れ、車や電車で動きを出す構図だ。
使用したのは、会社貸与のニコンD5600。エントリーモデルと言われる初心者向けのデジタル一眼レフカメラだ。レンズはニコン純正の18―200ミリ。これに、カメラをぶらさずにシャッターが切れる「バルブ撮影」の機材と三脚を使った。
ガラスの反射光を入れないよう、コートで自分の体とカメラを覆い、ガラスに密着した。周囲に変な人と思われたかもしれないが、そのかいあって、JR総武線、京成線の列車の光の線がきれいに入った。
展望施設は午前9時~午後10時。問い合わせは展望施設事務室(047・322・9300)。
三脚使用は普段は禁止されており、今回は市の許可をとった。一般のカメラマン向けには、毎月第3金曜と翌土曜、日没時から午後9時まで三脚使用が認められ、施設内の照明も落とされる。今月は18、19日。
夕暮れ時も人気で、富士山頂に太陽が沈む「ダイヤモンド富士」を観察できる日には多くのカメラマンが訪れる。
講評とアドバイス 「絞ったら、奥までシャープに」
とてもきれいに撮れています。
眼下を通る車や電車をどう入れるかが、撮影のポイントです。動くものを止めるか、流すか、が夜景撮影のだいご味。表現次第でアッと言わせられる。私の考えは流す、です。真ん中の線路を通る電車は、私なら露光時間を長くし、手前まで流しきります。光跡が短く、やや中途半端です。
街の細部は、もう少しみたい。ここの夜景の魅力は中央を横にS字のように流れる川ですが、暗めです。
ピントは、手前の建物にあり、中央の川沿いの建物はぼやけています。F8~F11まで絞ると、奥までシャープに見せられます。
画像編集ソフトを使うと、川の水面を明るくできる。中央右を走る国道も明るすぎて目が行ってしまうので、落ち着かせることが出来ます。
カメラで三脚が使えず、手持ちで撮る場合、設定は「開放」で、ISO感度を上げます。手ぶれ防止機能はオンにします。
スマートフォンで撮る場合は、夜景モードに。撮影前には画面のタップでピンを合わせましょう。意外と皆さん、やっていません。場合に寄っては明るさ調整を。スマホは手持ち撮影が前提なので、手持ちで十分。室内の照明が窓ガラスに映り込むので、ガラスになるべく近づけましょう。
成田空港近く ハートのモニュメントに刺さる航跡
成田空港の周辺の撮影スポットは、A滑走路に近い「成田市さくらの山」(同市駒井野)やB滑走路に近い「十余三 東雲の丘」(同市十余三)など複数がある。日中から夜にかけ、離着陸や撮影を楽しむ家族連れらの姿が絶えない。
成田国際空港会社(NAA)によると、飛行機は風が吹いてくる方向に向かい、離着陸する。滑走路はほぼ南北に伸びるよう設計されており、北風の時は北向きに、南風の時は南向きに離着陸する。
成田空港南側のひこうきの丘…