政治スキャンダル報道 読者とともに考えるジャーナリズム確立を

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山腰修三のメディア私評

 自民党派閥の政治資金パーティー収入をめぐる事件は、1月19日に東京地検特捜部による捜査が事実上の終結を迎えた。新聞からテレビ、ネットに至るニュースメディアがこのスキャンダルを大々的に報じたのは周知の通りである。

 ジャーナリズムが民主主義において果たす最も重要な役割とは、このような政治スキャンダルを暴くことだという考え方もあるだろう。確かにそれは、多くの人々の政治への関心を瞬間風速的に高める。そして報道を通じて形成される世論のうねりが政治の変革をもたらす場合もある。

 その一方で、繰り返されるスキャンダル報道の積み重ねが政治不信を高め、政治への冷笑主義や無関心、無力感の広がりを生み出すという考え方もある。スキャンダル報道が民主主義にとってこのような相矛盾する機能を果たす要因は、それが人々を政治に対する「観客」にしてしまうからにほかならない。

 スキャンダル報道は多くの場…

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年2月9日9時9分 投稿
    【提案】

    政治とカネ問題でのメディアのあり方に関する山腰さんのご指摘は、政治報道に携わるものとして真摯に受けとめます。  30数年前にリクルートや佐川といった政治とカネ問題が発覚した頃も、「改革」論議の焦点が政治資金から選挙制度に移り、「改革派対守

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    浜田陽太郎
    (朝日新聞記者=社会保障、定年後)
    2024年2月13日8時56分 投稿
    【視点】

    「観客に支えられた民主主義は不安定で脆弱」という点に強く共感します。ひるがえって、報道に携わる者は「観客」なのか「当事者」なのかを省みる必要があります。 政治という舞台を特等席から見ることができる特別なポジションにいる利点を生かして、

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