靖国神社の新たな宮司に元海将の大塚海夫氏 自衛隊の将官経験者で初

西本秀
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 靖国神社東京都千代田区)は15日、新たな宮司として、元海上自衛隊海将の大塚海夫氏(63)が4月1日付で就任すると発表した。将官を務めた元自衛隊幹部の靖国神社トップへの就任は、初めてとなる。

 靖国神社では14日、一般の神社の氏子総代にあたる「崇敬者総代」の会合が開かれ、現職の山口建史宮司(75)が3月末に退任し、大塚氏が後任となる人事案に同意した。宮司は神社を束ねる組織の長で、戦没者を慰霊する例大祭で「斎主」として祝詞(のりと)を読み上げる。

 大塚氏は防衛大学校を卒業し、1983年に海自に入隊。自衛艦隊司令部幕僚長や海自幹部学校校長、防衛省情報本部長などを歴任し、19年に退官した。20年に元自衛官では初めて大使となり、自衛隊の海賊対応の拠点があるアフリカ東部ジブチに赴任。昨年11月まで務めた。

 旧日本軍の戦没者らがまつられる靖国神社は第2次大戦当時、陸海軍の管轄下にあり、鈴木孝雄・陸軍大将が宮司を務めた。

 敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の神道指令で国や旧軍から切り離され、民間の宗教法人に転換。宮司には元皇族や旧華族、神社関係者らが就いてきた。

 宮司として1978年にA級戦犯を合祀(ごうし)した旧華族で旧海軍の松平永芳氏が一時期、自衛隊に所属したことはあるが、自衛隊の将官経験者が宮司に就くことはなかった。

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この記事を書いた人
西本秀
長崎総局次長|編集デスク
専門・関心分野
戦後社会の変容、台湾政治
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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2024年3月16日12時35分 投稿
    【解説】

    今後の靖国神社を考えるうえで重要なニュースです。宮司によって神社の運営が大きく変わることがあるからです。たとえば、記事にある松平永芳は、前任の筑波藤麿が逝去したことを受けて宮司に就任しました。旧皇族で穏健・学者肌だった筑波に比べて、越前藩主

    …続きを読む