ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリがロシア軍によって「完全制圧」されてから、20日で2年になる。全面侵攻に終わりは見えず、散り散りになった元市民たちの疲れは募り続ける。それでも、17日に朝日新聞の取材に応じたボイチェンコ市長は「帰る希望を失ってはいない」と訴える。
ボイチェンコ氏によると、2022年2月の侵攻前、マリウポリには市民と、親ロシア派勢力が支配する東部ドンバス地方からの避難民を合わせた約54万人が暮らしていた。
「道路も交通機関も病院も学校もすべてがきれいで、文化の中心地で、工業都市でもあった」
マリウポリは、ロシア、ウクライナ双方にとって、戦略的に重要な都市だった。侵攻後は激しい戦闘が続き、22年5月20日、最後まで残っていたウクライナ兵が製鉄所「アゾフスターリ」で投降した。
ボイチェンコ氏によると、死者は「確実にわかっているだけで2万2千人」といい、数十万人は国内外に家を追われた。一方、10万人の市民がなお現地に残り、新たに10万人ほどがロシア側から「移住」した。これは、占領を既成事実化する試みだと指摘されている。
「ウクライナに関するものを破壊し、民族のアイデンティティーを消し去り、別のものを植え付けようとしている。ソ連時代と同じだ」
ボイチェンコ氏の93歳の祖…
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