第77回マリウポリの製鉄所、自力で脱出した民間人も 「出てからも地獄」
ロシア軍の激しい攻撃を受けたウクライナ南東部マリウポリの製鉄所「アゾフスターリ」で、3月上旬に逃げ込んだあと、自力で脱出した民間人が複数いたことが、退避者への取材で明らかになった。ロシア軍の砲撃により退避の途中で、亡くなった市民もいたという。
3月1日から製鉄所の地下シェルターに滞在し、同25日に自力で脱出したセルギイ・ドフノさん(61)が5月24日、避難先のポーランドで朝日新聞の取材に証言した。
ドフノさんは妻や長男のほか、別の家族ら計9人で地下シェルターを出発。製鉄所内では、別の地下シェルターから出てきたとみられる女性が被弾し、絶命するのを目撃した。製鉄所の出口付近では、ロシア兵とウクライナ兵が地上戦を繰り広げ、戦闘が収まるまで何時間も物陰に隠れたという。
製鉄所を出た後は、ロシア側の支配地域を抜けるため、野宿などで6日間過ごし、4月1日に国際赤十字委員会のバスでロシア側の支配地域を脱出した。
ドフノさんは「製鉄所を出てからも地獄だった。体力的に限界を迎え、出会ったロシア兵には『殺してくれ』と頼んだ。今、こうして生きているのは偶然が重なった結果だ」と話した。
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