【判決要旨の詳報③】袴田巌さん再審無罪 地裁が三つの証拠捏造認定

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 静岡県で1966年に起きた強盗殺人事件をめぐり死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審で、静岡地裁は26日、無罪の判決を言い渡した。判決理由は次の通り。

(カ)検察官の主張

 これに対する検察官の主張は、おおむね、神田教授らの見解に基づき、清水教授ら及び石森教授の各見解には根拠がなく、1年以上みそ漬けされた血痕に赤みが残る現実的な可能性が残るというものであり、神田教授らの見解も踏まえた前記の検討によれば、理由がないことは既に説示したとおりである。もっとも、前記の検討において明示的に触れていない点について、以下、補足して検討する。

 まず、検察官は、検察官の本件主張①から③までに係る間接事実を総合すれば、被告人が本件の犯人であることが強力に推認されるから、1年以上みそ漬けされた5点の衣類の血痕に赤みが残るとの可能性が否定されない限り、5点の衣類が1966年7月20日以前に1号タンク内に隠匿された可能性は否定されず、被告人が犯人であることの認定に合理的な疑いが生じることはないと主張する。

 しかし、被告人の犯人性が強…

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