今年1月の能登半島地震で被災した人たちの日常を支えるため、訪問看護師が奔走している。金沢市の訪問看護ステーション「リベルタ金沢」は、生活に支援が必要な人のためのシェルターを運営し、輪島市にもステーションを開設した。現場では、回復してきたニーズに応じきれない焦りもにじむ。
金沢市の災害時緊急支援シェルター「リベルタの家」に入所する男性(66)は週2回、デイサービスに通っている。リベルタの家に帰ってくると、部屋には戻らず、リビングでテレビを見る。時折、スタッフと言葉を交わす。笑い声があがる。
男性は輪島市の自宅で被災し、環境が整った2次避難所への中継地として開設された金沢市の「1・5次避難所」に身を寄せた。パーキンソン病を患っていて、避難所では症状をうまくコントロールできなかった。6月からリベルタの家に移り、薬をのむタイミングを調整。日課だった散歩も再開し、元の生活リズムを取り戻しつつある。
リベルタの家は、訪問看護ステーション「リベルタ金沢」が、笹川保健財団(東京都)の支援を受け、5月末に開設した。
要介護や要支援の認定を受けていたり、家族の事情や経済的な理由があったりして、行き場がない被災者を受け入れている。常時3人ほどが入所し、訪問看護師が交代で常駐している。
リベルタ金沢の運営会社代表の池川淳子さん(48)は「訪問看護師だからこそ、生活をみて、一人ひとりに合わせた対応ができる」と強調する。
プロジェクトリーダーの下中智津子さん(55)は、「過保護」にならないように心がけている。「何でもやってもらう環境に慣れてしまうと、できることもできなくなる」。避難所では「歩けない」と言われていた人も、実際は違っていることがよくあるという。
リベルタの家は、避難所を出…
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