食料立てれば水が立たず? 絡み合う「危機」、同時解決のカギは自然

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杉浦奈実
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 生物多様性の損失や気候変動、食料、人の健康といった重要な問題を、互いに足を引っ張らずに改善していくにはどうしたらいいのか――。国際科学者組織「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」は17日、こうした要素の相互作用や同時解決についての報告書を発表した。

 ナミビアで開かれていたIPBESの総会で採択されたのは「ネクサス評価報告書」。各国の専門家が携わり、6500以上の文献をもとにしたという。生物多様性、水、食料、健康、気候変動の危機について、お互いの影響や、様々な対応策をとった際の将来予測をまとめた。

 報告書によると、ここ50年でGDPや人口は飛躍的に増え、食料生産も増加した。一方で、生物多様性の劣化や気候変動が進み、水リスクが高まっているという。気候変動が進めば、水害や生物が絶滅するリスクが高まるなど、要素は互いに影響し合うことも解説している。

計上されていないコスト、最大3800兆円にも

 また、現状では、短期的利益…

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この記事を書いた人
杉浦奈実
科学みらい部
専門・関心分野
生物多様性、環境、科学