学習指導要領の議論、専門家が指摘する「諮問に書かれなかったこと」

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聞き手・氏岡真弓 高浜行人
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 2030年度から始まる次期学習指導要領について、文部科学相が25日、中央教育審議会に諮問し、10年に1度の改訂議論が始まった。

 長時間労働問題が深刻化し、子どもの抱える課題が多様化するいま、検討の焦点はどこか。留意するべき点は。

 中教審委員として過去の改訂に関わってきた安彦忠彦・名古屋大名誉教授(教育課程論)に聞いた。

     ◇

 いまの学習指導要領の改訂案が出たとき、私は「非常に細かい部分まで書き込まれ、『こうやらないといけない』という受け止めが現場で起こるだろう」と指摘した。結果は、全体として残念ながらその通りになったと見る。

 現場ではベテランが退職し、経験の少ない教員が増えている。教科書会社は、指導要領の記述の多さに加え、力量がいま一歩の先生でも教えやすいようにと、教科書を分厚くした。教員たちはそれをこなさなければと負担を感じている。

指導要領は「大綱的基準」に

 これでは困る。指導要領は「…

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この記事を書いた人
氏岡真弓
編集委員|教育分野担当
専門・関心分野
教員の働く環境、教員不足、子どもの学び
高浜行人
東京社会部|教育班キャップ
専門・関心分野
学校教育、受験、教育行政
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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2024年12月25日10時43分 投稿
    【視点】

    教科書をもっと薄いものにする(記述の量とカリキュラムを減らす)、学校の裁量を広げる(教員が創意工夫するための余白をつくる)など、得心がゆく提言ばかりである。諮問文が「経済的な要請からのみの人材要請論」であるという指摘もそうで、教育界にも経済

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