日本製鉄によるUSスチール買収計画を認めず バイデン大統領が発表

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ワシントン=榊原謙 聞き手=山本精作
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 バイデン米大統領は3日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を禁止すると発表した。買収が米国の国家安全保障を損なうおそれがあると判断した。

 バイデン氏は声明で、「鉄鋼は我が国のインフラ、自動車産業、防衛産業を稼働させている」と主張。今回の買収で米鉄鋼大手の一つが外資の傘下に入れば、「我が国の安保と重要なサプライチェーン(供給網)にリスクをもたらす」と訴えた。

 同盟国間の民間企業どうしが合意した買収を、米大統領が認めないのは極めて異例だ。石破茂首相は2024年11月、バイデン氏に書簡を送り、買収を認めるよう要請していた。米紙ワシントン・ポストによると、側近らがバイデン氏に対して、買収の阻止は今後の日米関係に悪影響を与えるとして翻意を求めたが、バイデン氏の考えは変わらなかったという。

 日鉄は23年12月、USス…

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この記事を書いた人
榊原謙
アメリカ総局|米国経済担当
専門・関心分野
米国経済、世界経済
山本精作
経済部|素材産業担当
専門・関心分野
人口問題、地域経済、エネルギー、農業、鉄道
  • commentatorHeader
    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2025年1月3日23時53分 投稿
    【視点】

     アメリカが弱くなっている証左と思います。アジア人にアメリカの象徴となる鉄鋼会社が購入されるということに、合理的計算とは別の位相での感情の動きが、民衆と政治エリートを支配しています。この種のことが今後も多発すると思います。アメリカは今までよ

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2025年1月4日1時32分 投稿
    【視点】

    USスチールは昨年末に出した声明で、日鉄による買収が不成立となれば、アメリカの鉄鋼業は中国の脅威に対抗できず、アメリカは敗北してしまう、買収はアメリカの鉄鋼業の競争力を強化し、アメリカに投資と雇用をもたらすのだと訴えたが、この訴えは聞きいら

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