強制労働か否か…水面下の日韓交渉 佐渡金山が世界遺産に至るまで
インド・ニューデリーで開かれているユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は27日、「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)を世界文化遺産に登録することを全会一致で決めた。
「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録をめぐる焦点の一つは、朝鮮半島出身者の「過酷な労働」をどのように位置づけるかだった。強制労働か否かの見解が日韓で食い違う中、直接的な表現は避けつつも、厳しい労働環境にあった記録を詳しく展示することで着地点を見いだした。近年例を見ない良好な関係も、合意を後押しした。
「14年もの間、多くのみなさんが待ち望んでいた喜ばしい知らせだ」。27日、岸田文雄首相は登録決定を祝うコメントを発表した。
佐渡島の金山は2010年、世界遺産の国内推薦候補として「暫定リスト」入り。21年末には文化審議会が候補に選んだが、韓国政府が「強制労働被害の現場だ」と撤回を要求。翌年、正式に推薦した日本政府との間で対立が続いていた。
韓国は昨年11月、ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産委員会の委員国に選出された。21カ国で構成される委員会は、世界遺産登録の決定にあたり全会一致の基本原則があることから、日本は韓国の同意を得ることが一層求められる状況になっていた。
ただし、2021年の政府答…
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