日本語学校で教え始めて3年目。あれこれ参考書を買いあさりましたが、最も参考になったのがこの本です。
もしも…あなたが外国人に「日本語を教える」としたら (クロスカルチャーライブラリー)
- 作者: 荒川洋平
- 出版社/メーカー: スリーエーネットワーク
- 発売日: 2004/05/01
- メディア: 単行本
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教授法や教材について書かれてあるのですが、最も心に残ったのが以下の内容。
国際交流基金で日本研究部長などを歴任した上田孝さんによると、良い日本語の先生であるための条件は「機嫌がよいこと」。
なるほど。教え方のテクニック以前に、教師は上機嫌で学生に接しなくてはいけない。
中学や高校で、機嫌の悪い教師にびくびくしながら授業を受けたことがあるのですが、今はそんな時代じゃありません。
しかも外国人学生は権利意識が強く、授業がいやだと感じたらさっさと登録を取り消します。
3年前に教え始めた頃の学生には、謝りたいことだらけです。
慣れていないので内心びくびくしながら、胃が痛くなることばかり。機嫌がよい教師とは程遠い状態でした。学生も楽しくなかったでしょう。
今は少し慣れて、学生たちの日本語を受け止めて、おもしろいと思えるようになりました。そんな私の楽しい気持ちが学生に伝わって、教室がなごやかなムードになっていくのが理想の展開です。
教師なのに学生の質問に答えられなかったり、漢字をまちがえたり。
教室で数えきれないほどの失敗をしてきましたが、学生たちは「なんだ、日本人だって日本語が完璧じゃないんだ」と肩の力を抜いてくれればいいのですけど。
だめな教師の言い訳ですが、少なくとも私の教室では、みんな機嫌よく過ごしてほしいと願っています。非漢字圏に生まれて、日本語を学ぼうと思い立っただけで、私は「本当にすごいね」という念を送っています。
「死者の日」を教えてくれたメキシコの学生は「死」さえも笑い飛ばします。
南米からの学生はいつも大歓迎。まぬけな失敗をしても、笑っていられるうちは大丈夫なんだという気になります。
釜山の日本風居酒屋。がんばって日本語のメニューを掲げているのですが、細かく見ると変な表記。だけど、それもご愛敬で楽しくなります。
そして、教室だけではなく、人生全般も機嫌よく過ごしたいものです。
長く生きていると、思い通りにならないことばかり多くなりますが、不都合や不自由も「そんなものか」と受け入れたいものです。何かを成し遂げられなくても、一日を機嫌よく過ごせたらそれだけで上出来です。