小学生のころから、学校が嫌すぎて、いつも逃げだしたいと思っていた。
小野寺慧さん(20)は、じっと座って授業を受けたり、体育で集団行動をしたりすることが苦手だった。
学校でも自宅でも、無意識に自分の髪の毛をプチプチと抜くようになり、丸いハゲができた。
心配した親と一緒に病院に行くと、発達障害のADHD(注意欠如・多動症)の傾向があると言われた。
中学生になっても、学校が耐えられないという思いは強まるばかりだった。
もともと小食だった。成長期にもかかわらず、さらに食が細くなった。加えて極端な偏食だった。
食べるのは肉類と、ピザなどの炭水化物ばかり。ごく一部をのぞき、野菜は口にしなかった。
給食も残してしまうことが多く、身長は伸びるのに体重が増えなかった。
「マッチ棒みたい」。親は心配し、学校の先生からも「病院に行っては?」と言われた。
3年生のとき、運動会に向けた組み体操の練習をきっかけに、本格的な不登校になった。
やせ細った体に同級生の体重がのるのは、耐えがたい苦しさと痛みだった。
練習のとき、自分のミスのせいで、失敗してしまった。
恥ずかしさと罪悪感。
友達に合わせる顔がないと、学校に行けなくなった。
高校進学はしないつもりだっ…