第2回姉ばかりかわいがる両親 4年ぶりの電話、毒親と縁を切った私の幸せ

有料記事さらば毒親

山本悠理
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 「ママ、おかえり」。家に帰ると、小さな娘と夫が迎えてくれる。一緒にごはんを食べ、テレビを見ながらたわいもない会話を交わす。そうして、今日も穏やかに眠りにつく――。

 「デブ! ブス!」。そんなののしりや暴力を肉親から受け続けてきた女性にとって、今ある日常の幸せは、数年前まで「テレビの向こう側の出来事」だった。

 北陸地方にある女性の実家では、ものごころついた頃から、家族のいさかいが絶えなかった。

 医療従事者の父と、薬剤師の母は不仲で、常にいがみ合っていた。5歳上の長姉と、3歳上の次姉がいたが、とくに次姉は母親にかまってもらおうとしてか、妹である女性を目の敵にしているようだった。

 4歳の頃、次姉に言われたことが記憶に残る。家族で女性だけ血液型が異なるのをからかわれた。「もしみんな事故にあったら、(輸血ができないで)あんた一人で死ぬね」

 父親は長姉の勉強と、趣味の競輪しか頭になかった。週末になると女性は、行きたくもない競輪場に連れて行かれた。次姉のいじめに気づいていたはずなのに、母親は、きまって末っ子の女性をどなった。

 幼稚園児だった頃、女性は母親に尋ねたことがある。「どうしてお姉ちゃんが悪いのに、私が怒られるの?」。すると、こう返ってきた。「お姉ちゃんを怒ると面倒くさいから、聞き分けの良いあなたを怒る」

 そこで、女性は自分に「約束」をした。

 〈お母さんに好かれるために、聞き分けの良い私が我慢しなくちゃいけないんだ……〉

響きわたる怒声、ブランド品を買いあさる母

 長姉が第1志望の高校に進学…

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この記事を書いた人
山本悠理
デジタル企画報道部
専門・関心分野
現代詩、現代思想、演劇・演芸、法律学
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    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2024年5月31日21時20分 投稿
    【解説】

    重要な内容の連載第2回。やはり「宗教2世」問題を意識しながら読んでしまいます。 >〈お母さんに好かれるために、聞き分けの良い私が我慢しなくちゃいけないんだ……〉 子どもの時の自分の「約束」が、長い時間をかけて、結婚・出産・育児などを経て、

    …続きを読む