「歌舞伎の家の娘」寺島しのぶさん 50歳で挑む、歌舞伎座の初舞台
男性が女性を演じることが基本の形となっている歌舞伎。その殿堂である東京・銀座の歌舞伎座で2日から始まった「錦秋(きんしゅう)十月大歌舞伎」で、俳優の寺島しのぶさんが初舞台を踏んだ。134年の歌舞伎座の歴史で、女性が主役級を演じたのは数えるほどだ。「歌舞伎の家」に生まれ、女性であるがゆえに歌舞伎から距離を置かざるをえなかった寺島さんに、今回の舞台にかける思いを聞いた。
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寺島さんによると、歌舞伎座には独自のパワーがあるという。
「『歌舞伎座の怪人』がいると思う。その正体が何かはわからないけど」
寺島さんは、歌舞伎俳優で人間国宝の尾上菊五郎さん、俳優の富司純子さんの長女として生まれた。弟は歌舞伎俳優の尾上菊之助さんだ。
今回、寺島さんが出演しているのは「文七元結(ぶんしちもっとい)物語」(脚本と演出は山田洋次監督)。腕の良い左官だが、ばくち好きで貧乏暮らしの長兵衛を中村獅童さん、女房のお兼を寺島さんが演じる。
長兵衛役は父、菊五郎さんの十八番で、寺島さんは子どもの頃からセリフを暗記するほど見たという。
幼なじみの中村獅童さんのひと言
舞台稽古に入る前の9月、寺島さんはこう不安を漏らしていた。
「役者さんたちが踏んできた舞…
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