第4回はにわ、なぜポピュラーな存在に? きっかけは宮崎の新婚旅行ブーム

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編集委員・宮代栄一
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連載「はにわのフシギ」

 特別展「はにわ」(朝日新聞社など主催)が開催中の東京国立博物館(東博)を訪れた人は、関連グッズの豊富さに目を見張るに違いない。クリアファイルなどの定番商品に加え、武人埴輪(はにわ)を模した着ぐるみ風のルームウェア、ぬいぐるみ、埴輪の形をした落雁(らくがん)……。古代人の墓に立て並べられていた造形物の埴輪が、なぜこれほど「市民権」を得ることが出来たのだろうか。

新婚さんが訪れた「はにわ園」

 きっかけの一つは、1960~70年代に最盛期を迎えた宮崎県への新婚旅行ブームだ。60年、昭和天皇の5女の島津貴子さん、次いで皇太子と皇太子妃だった現在の上皇ご夫妻が訪れ、74年にはこの年に結婚したカップルの35%にあたる37万組が宮崎市に宿泊したと言われる。

 そのころ、新婚さんが必ず訪れた場所の一つが「はにわ園」(宮崎市)だった。県立平和台公園の一角に63年に開設された約400体の埴輪の複製が立ち並ぶ施設で、最初の観覧者は皇太子ご夫妻だ。

 このはにわ園の埴輪を制作し…

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この記事を書いた人
宮代栄一
編集委員|歴史・考古学担当
専門・関心分野
歴史、考古学、文化財
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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2024年11月23日15時51分 投稿
    【視点】

    八紘一宇の塔について、記事には「四隅を守る4体の武人の像」とありますが、実際には4体の像のうち、武人を象徴したものは1体のみです(荒御魂)。この武人像は敗戦後に撤去されましたが、1962年に復元されました。一方、残りの3体の像は商工人、農耕

    …続きを読む