第53回医師たちの終わらぬ闘い ロシア軍の撤退後にけが人が増えるわけ
ロシア軍がウクライナに侵攻してから24日で2カ月になる。この間、国際人道法で禁じられている病院への攻撃が相次いだ。自らの生命も脅かされる過酷な状況下で、医師、看護師、職員らは奮闘し、その営みは、ロシア軍が去った後も続いている。
「看板見れば病院とわかる」
ウクライナ西部から首都キーウ(キエフ)に高速道路で向かう途中、40キロほど手前のブゾバ村の道路右脇に、妊娠した女性の巨大な看板が目に入る。そのたもとにある5階建ての私立アドニス産科病院の本院は、壁の一部が黒く焦げ、崩れかけている。
「この看板を見たら、建物が病院だと、ロシア軍だってわかるでしょう。にもかかわらず、ミサイルを撃ち込んだのです。妊婦が院内にいるというのに」
病院の管理人イゴール・シュルさん(55)は振り返る。ウクライナは代理出産ビジネスが盛んなことで世界的に知られるが、この病院も代理母を受け入れており、近年は欧州各国や中国からの依頼があったという。シュルさんによると、米国人夫婦の代理母として出産を控えた女性らが、当時入院していた。
キーウ包囲をめざしたロシア軍は近郊の農村地帯を南下し、ブゾバ村に入った。産科病院は村の入り口にあたる。2月28日、ロシア軍は2機のヘリコプターと高速道路上の装甲車両から病院を攻撃し、施設を破壊した。
ロシア兵が突入、銃を…
その2~3日後だとシュルさ…
ウクライナ情勢 最新ニュース
ロシアのウクライナ侵攻に関する最新のニュース、国際社会の動向、経済への影響などを、わかりやすくお伝えします。[もっと見る]