第58回「この街で生きる」激戦地ブチャに戻ったコーヒーの香り 朝市も再開

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ブチャ=金成隆一
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 全域がほぼ1カ月にわたってロシア軍に占領され、遺体が路上に放置されたままの解放直後の映像で世界に衝撃を与えた首都キーウ近郊の街ブチャ。解放宣言から間もなく1カ月になる中、2割ほどの住民が既に戻っているとみられ、少しずつ復旧が進んでいる。

 首都攻略を目指したロシア軍は3月、この街にとどまりウクライナ軍との戦闘を続けた。ウクライナ当局がブチャを含むキーウ州全域の解放を発表したのが4月2日だった。400人以上の市民が犠牲になったことが4月12日までに判明。民家の庭などに仮埋葬されたケースがあり、今も増え続けているという。

 同29日夕、市役所近くの表通り。若者がローラーブレードで歓声を上げながら走り抜け、親子連れが買い物袋を下げて歩いていた。

 コーヒー店主のドミトリュク・ディマさん(25)が店の軒先から人通りを眺めていた。「住民の25%ぐらいが戻ってきた」。表情が明るい。「生まれ育った地元が好き。この通りは戦争前、毎日1万人が行き来しうちの売り上げは一日で500杯になることもあったんです」

朝市も再開 「早く平和を」

 侵攻が始まった2月24日に…

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この記事を書いた人
金成隆一
大阪社会部次長|災害担当
専門・関心分野
国内社会、米国、外交、ジャーナリズム
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