第72回「ロシアは市民を見境なく殺す」体に5発の銃弾、それでも逃げ続けた
リビウ=坂本進
ウクライナに侵攻したロシア軍は民間人への無差別攻撃を続け、戦地から避難する人たちすら標的にされている。避難民を車で送っている最中に銃撃され、大けがを負った男性が、朝日新聞の取材にその実態を証言した。
はじめは、車の上に何かが落ちてきたのかと思った。しかし、すぐにそれがロシア軍の銃撃だと気づいた。ハンドルを握る手に力がこもった。後方からの銃撃はやむどころか、激しくなっていく。
銃弾が両足に、脇腹に、そして、左手にも当たった。
左手の指がだらんと垂れ下がった。車内の同乗者たちは騒然としていた。激しい眠気のような感覚におそわれ、意識が遠のいていった。
ウクライナ北東部ハルキウで、避難を求める住民を乗せていたボランティアのセルゲイ・イバンチュクさん(29)は3月10日、ロシア軍に銃撃された。
「あのときは、もう死んだと…
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