第26回過酷労働・円安…離れていく技能実習生 矛盾する制度と地方の危機感
「みなさん、紋別を離れるんですよね」
オホーツク海沿岸にある北海道紋別市の宮川良一市長(68)が語りかけた。1月13日、技能実習を終える中国人4人に市が感謝状を贈る式典があった。市長は続けた。「さみしいですね」
感謝状の式典に参加した実習生4人のうち3人は中国に戻るが、内モンゴル自治区出身の李媛(リ・ウァン)さん(37)は日本に残る。
3年間、市内の水産加工場で魚をさばく仕事をしていた。特定技能の在留資格に移行し、1月末から静岡県内の弁当チェーン店で働く。原則転職できない技能実習と違って、同じ業種や試験に受かれば職場を選べる。
国に16歳の長男を残してきた。それでも日本で働き続けるのは「稼ぎたいから」。紋別の町は静かで好きだが、寒い中での水仕事はつらかった。指や手首がたびたび痛み、腱鞘(けんしょう)炎で通院しているという。
「実習生はずっと同じ仕事をしないといけない。働ける場所を選べるようにしてほしい」
「やがては家族ぐるみで」定着願う
紋別が実習生を受け入れ始め…
- 【視点】
「円安」がアジア系外国人労働力の日本離れの決定打になるだろう、とは為替の円安基調が固定化したあたりからネットでも盛んに言われていることだ。 それを食い止めるとしたら、「稼ぎ自体はイマイチでも、安全でフェアな労働環境がある」といった社会的信用
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