第5回トヨタも「聖域」売却、消えゆく株の持ち合い ただの悪弊?それとも

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中村建太 稲垣千駿 江口英佑
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 親しい企業同士が互いの株式を持ち合う慣行は、長く日本の資本主義を特徴づけてきた。しかしそれは、限られた資本を無駄遣いし、「なれ合い」を助長するとして投資家から疎まれ、解消に動く企業が相次ぐ。持ち合いは企業価値を損なう悪弊として消えゆくべきなのか。それとも――。

 トヨタ自動車の宮崎洋一副社長が「グループの持ち合い株の見直し」に言及したのは昨年11月の決算説明会だった。時期を問われると「必要があればすぐに動いていきたい」と応じた。

 その、わずか4週間後。トヨタはグループ内の豊田自動織機、アイシンとともに、デンソー株全体の約10%(約6700億円)を売却すると表明した。デンソーも逆に、豊田自動織機やアイシンの株を手放す。

 トヨタグループは、豊田自動織機の自動車部から生まれたトヨタを中心に、その中で部品や素材をまかなう強固なサプライチェーン(供給網)を形づくる。

 大きな特徴が各社間の株の持ち合いだ。長年の取引関係に加え、トヨタの一部門から分離、独立した会社もあり、トヨタが各社の株を多数保有し、各社も株を持ち合ってきた。なかでも「御三家」と呼ばれるデンソー、アイシン、豊田自動織機は結びつきが強く、グループ株は「聖域」とみられてきた。

 そこに手を付ける理由は何か。各社は電気自動車(EV)や自動運転といった次世代技術への対応を挙げる。巨額投資が必要で、グループ株を売却してでも資金を捻出するという。

 それに加え、複数社の幹部が「影響があった」と明かすのは東京証券取引所の異例の要請だ。

 東証は昨年3月、保有する資…

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この記事を書いた人
中村建太
経済部|国土交通省担当
専門・関心分野
運輸政策・産業、ものづくり、地方格差

連載資本主義NEXT 価値ある企業とは(全23回)

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