第18回日本企業は「みんな赤点」 生物多様性とビジネスの分かちがたい関係
企業が求められる環境対策は、温室効果ガスの排出削減に限らない。生態系や動植物の種を守る「生物多様性」も大きなテーマに浮上している。なぜ、ビジネスで生物多様性を考える必要があるのか。MS&ADインシュアランスグループホールディングスの原口真さんに聞いた。
――生物多様性がクローズアップされています。
「企業活動は、水や食料、鉱物などの自然に依存しています。さらに廃棄物や排水、排ガスなどでインパクト(影響)を与えています。自然の喪失を止めて回復させないと、将来のビジネスや社会の基盤はありません」
「20世紀の経営者は、自然環境のことをあまり考えなくてよかった。環境基準を守っていれば、それで十分だったのです。お金を払えば商社が世界中から資源を持ってきてくれ、日本はこのビジネスモデルで大成功した。でもそれは、見えないうちに森林や水、水産物、土壌などの自然資本を食いつぶしながら、お金の流れ(GDP)が大きくなってきたということです」
自然を増やしながら売り上げを伸ばす
――ではどうすれば。
「流れを逆回転させないといけません。喪失のペースを和らげるだけでなく、自然資本を増やすことが求められています。これをネイチャー・ポジティブと言います」
「持続可能な形で産業を成長…
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