第6回「もっと株価に意識を」挑戦する企業と変われない企業 問われる技量
上場企業はもっと株価を意識して経営を――。東京証券取引所が異例の要請に踏み切ったのは昨春のことだ。確かにその後、市場はバブル崩壊後の最高値を塗り替える株高に沸いている。株主の期待に向き合うよう経営者に迫る要請は、上場企業の経営をどう変えるのか。日本企業の価値は高まるのか。
有識者9人を集めて東証の改革について議論する「フォローアップ会議」の初会合で、オムロン取締役(当時)の安藤聡氏が口火を切った。「PBR1倍割れの企業が多いことにメスを入れない限り、意味がない」
一昨年7月のことだ。企業に改革を迫る東証の動きは、この発言を機に始まったと関係者は振り返る。
PBRとは、市場が評価する企業価値(株式の時価総額)が、企業の抱える資産の何倍になっているかを示す指標だ。「株価純資産倍率」と呼ばれる。資産が少ないほど、また株価が高いほど大きい数字になる。
それが1倍を割るとはどういうことか。その企業の株を全部買って会社を清算し、設備などをすべて売り払えば、もうけが出ることを意味する。理論的には、企業を解散した方が株主にとっては望ましい状態だ。
投資家が意識するのは「資本コスト」
企業経営者の多くは、売上高…
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