第8回「働く人への投資」後れ取り戻せるか 人材戦略が企業の価値を決める

有料記事資本主義NEXT 価値ある企業とは

木村裕明
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 工場や機械、店舗のような目に見えるものより、働き手のスキルなど目に見えないものに投資する方が企業価値を高められる――。そんな考え方が広がり、欧米企業は人への投資を競い合う。「人を大事にする」はずだった日本企業は、後れを取り戻せるのか。

 人材を価値が伸び縮みする「資本」と捉えて投資することにより、企業価値を向上させる。それが「人的資本経営」と呼ばれる潮流だ。

 人的資本についての上場企業の情報開示を調べ尽くした経営者がいる。

 人材関連サービス会社「Unipos(ユニポス)」の田中弦(ゆづる)社長。3月期決算の上場企業が出した有価証券報告書にすべて目を通すなど、のべ約5千社分の開示を分析したという。

 「一部に優れた開示をした企業がある一方、サボっていた企業が多い。二極化が進んだ」

 女性の管理職比率に、男性の育児休業取得率、男女間の賃金格差。これら3情報のほか、人材戦略やその目標などの開示が上場企業に義務づけられた「開示元年」が2023年だった。田中氏が6段階で独自に格付けしたところ、3情報を開示した程度で済ませた企業が大半を占めた。充実した開示と評価できるのは上位約5%に過ぎなかった。なかでも田中氏が高く評価するのが丸井グループだ。

 企業価値と人的資本の関係は…

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この記事を書いた人
木村裕明
経済部|財界・民間企業担当
専門・関心分野
企業経営、働き方、ダイバーシティー、企業による社会課題解決、障がい児・者との共生社会

連載資本主義NEXT 価値ある企業とは(全23回)

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