第22回人的資本経営、盛り上がるのは日本だけ? ブームに踊らされぬために

有料記事資本主義NEXT 価値ある企業とは

聞き手・木村裕明
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 人材を価値が伸び縮みする資本と捉えて投資し、企業価値の向上をめざす「人的資本経営」への関心が高まる。ただ、日本企業による実践は、まだ広がりを欠く。アステラス製薬で人的資本経営をリードする杉田勝好副社長(人事・コンプライアンス担当)に、取り組みの意義や狙い、日本企業の課題を聞いた。

 ――なぜ人的資本経営に注力しているのですか。

 「会社全体のイノベーションのレベルを上げるためです。2025年度に市場から時価総額7兆円以上の企業と評価されることをめざしています。難しい計画ですが、高いハードルを越えるには今までと違うことをしなければいけません。その一つとして、21年から5カ年の中期経営計画で掲げたのが組織健全性目標です」

 ――どういう目標ですか。

 「一言で言うと、組織や人に焦点を当てて会社の文化を変え、イノベーションを起こし続ける組織に変えていくための目標です。イノベーションの促進、人材の活躍、(部門を超えた)コラボレーションの浸透の三つを掲げています。従業員の生の声を聞き、イノベーションを阻害する要因を徹底的に洗い出して設定したのがこの三つです」

 「私は3年前に入社した後、この三つだけを考えて人事部門を率いてきました。今の時代のイノベーションは個人が起こすだけでなく、チームで起こすことが多い。イノベーションを追求できる人材やリーダー、組織風土を作るために必要なことに人事として取り組み、阻害要因になりうることは大胆にカットしていく。優先順位を明確にして、具体的な施策を進めています」

イノベーションを生む「余白」

 ――具体策の一つとして「ホワイトスペース」の確保が注目されています。

 「新しいアイデアを考えるた…

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この記事を書いた人
木村裕明
経済部|財界・民間企業担当
専門・関心分野
企業経営、働き方、ダイバーシティー、企業による社会課題解決、障がい児・者との共生社会

連載資本主義NEXT 価値ある企業とは(全23回)

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