第7回複合企業「コングロマリット」はもう古い? そうとも言えない新潮流
いくつもの業種のビジネスを手がけるコングロマリット(複合企業)に、解体を求める市場の圧力が高まっている。事業を別々に営むよりも、企業全体の価値が減じられるとの見方からだ。複合企業は、もう時代遅れなのか。そんな中で台頭する「ネオ・コングロマリット」の力とは。
ストライキでひとけが消えた昨年8月31日午後の西武池袋本店(東京・池袋)のビル群。黒い高級ミニバンが横付けされた。
降り立ったのはセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長。午前の取締役会で同店をはじめ百貨店を運営する傘下のそごう・西武の売却完了を決議したばかりだった。
うつむき気味でビル内にあるそごう・西武の本社に入った井阪氏は、9階の会議室で、幹部らに決議事項を淡々と告げたという。17年続いた資本関係の終わりだった。「そごう・西武を成長させるための投資ができなかった」。1カ月ほど後の決算説明会で、井阪氏はそう悔やんだ。
コンビニのセブン―イレブン、スーパーのイトーヨーカドー、そして大手百貨店を擁し総合小売業となったセブン&アイ。「お互いの良さを出し合い、新しいモデルをつくるという夢を実現させたい」。そごう・西武前身との統合を発表した鈴木敏文会長(現名誉顧問)は2005年当時、そう期待を語っていた。
それが売却に追い込まれたのは、衣料専門店やネット通販の成長のあおりで苦戦が続いたからだ。郊外店をショッピングセンターに改めるなどテコ入れしたが赤字から脱しきれない。
大株主でアクティビスト(物言う株主)として知られる米投資ファンド、バリューアクト・キャピタルは、そごう・西武を切り離すよう迫った。
セブン&アイが整理したのは…
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