第15回一流企業の「印籠」に使われた上場ブランド 市場の停滞脱する道は
長年にわたり企業の「ステータス」とみなされてきた株式上場だが、東京証券取引所の再編などで、そうした考えを見直す企業も増えてきている。そもそもなぜ、上場に価値が置かれてきたのか。価値観をどう変えていくべきなのか。東証再編を話し合う審議会の委員も務めた日本総合研究所の翁百合理事長に聞いた。
――日本企業にとっては、「東証1部(現プライム)上場」が、長年ステータスのようになっていました。
「上場は目的ではなく、企業の成長のツールです。資金調達をしやすくすることが大きな目的ですが、今まで『ブランド』のようになっていた部分はありました」
「米国の市場ではかなり入れ替えがあるのですが、日本では東証1部上場になったらほとんどそのままでした。基準を満たせば企業はずっとそこにいることができて、水戸黄門の印籠(いんろう)みたいに(上場ブランドを)使うことができた。それが、活力の不足につながっていたと思います。時価総額も拡大せず、市場の活性化を阻害し、停滞してしまった面がありました」
非上場で光る企業も 上場ブランドより大切なこと
――昨年は、ベネッセホールディングスや大正製薬などの有名企業も非上場化を決めました。
「自ら真摯(しんし)に検討…
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