人工知能(AI)が軍事分野に深く浸透し、AI兵器の誕生は火薬や核兵器に次ぐ、「戦争における第3の革命」とも呼ばれています。世界各国で進む高度なAI技術を使った兵器システムの開発や、その規制の現状はどうなっているのでしょうか。
人間の判断を介さずに、人工知能(AI)技術などを使って殺傷する自律型致死兵器システム(LAWS)の開発や使用についての国際ルール作りは進んでいない。
「機械によって自律的に人間を標的にすることは、我々が道徳上、越えてはならない一線だ」。3月4日、スイス・ジュネーブで開催されたLAWS規制をめぐる国際会議で、国連軍縮部門トップの中満泉事務次長はこう強調し、共通ルールを早急に確立するよう訴えた。
会議では、パレスチナ側が「AIシステムが戦争犯罪や大量虐殺を加速し、(途上国など)グローバルサウスの住民に向けて実験する可能性を強く懸念している」「イスラエルはガザで殺戮(さつりく)の任務を加速するのにAIを使っている」などと批判。イスラエル側が「人間の関与なしに攻撃対象を選ぶAIシステムは使っていない」と反論する場面もあった。
AIやLAWSの規制をめぐっては、昨年12月に初めて国連決議が採択されたが、議論は始まったばかりだ。
決議はAI兵器にも国際人道法など既存の国際法が適用されることを確認したほか、国連事務総長にLAWSの倫理的課題や人間の役割について各国の立場をまとめた報告書を提出するよう求めた。日米など152カ国が賛成したが、ロシアやインドなど4カ国が反対。イスラエルや中国など11カ国は棄権した。
米国、中国を念頭にAI兵器を重視
AIの軍事利用に積極的なの…