現代に蘇るニクソン・ドクトリン 米国は再び、同盟を再定義するのか

有料記事読み解く 世界の安保危機

聞き手・牧野愛博
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 米国のニクソン大統領(当時)は55年前の1969年7月25日、米領グアムで、地域の同盟国に更なる負担を求める「ニクソン・ドクトリン」を発表しました。同年8月15日には米ドルと金の交換一時停止も宣言しました。東京外国語大学の吉崎知典特任教授は、米国が当時、自らの力の衰退を認め、同盟関係の整理に乗り出した状況が、現在の米国と酷似していると指摘します。

 ――ニクソン・ドクトリンはなぜ生まれたのでしょうか。

 当時の米国はベトナム戦争に疲弊していました。61年に誕生したケネディ政権で副大統領だったジョンソン氏が、63年のケネディ暗殺を受けて大統領に昇格しました。ジョンソン氏は64年の大統領選には勝利しましたが、米国内での反戦運動の高まりなどから再出馬を断念しました。代わりに民主党候補になったハンフリー副大統領(当時)を大統領選でやぶり、69年に就任したのがニクソン氏です。

 当時、中国も徐々に国力をつ…

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この記事を書いた人
牧野愛博
専門記者|外交担当
専門・関心分野
外交、安全保障、朝鮮半島
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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年7月25日8時0分 投稿
    【視点】

    吉崎知典先生の話は、55年前の構造との「相似」について以上に「差異」の箇所が興味深いというか気になる。 55年前、アメリカはまがりなりにも「親分として、自陣営全体をなんとしても守る」という前提の下で同盟国に応分の負担を求めた印象があるが、現

    …続きを読む