第12回「特定技能の建前、崩れている」入管法の第一人者が提言する移民政策
近年、日本に住むネパール人が急増しています。その数はこの10年で5倍以上に増え、今年6月で12万5千人を超えました。背景には、豊かな生活に憧れるネパール人側の事情と、労働人口の減少が急ピッチで進む日本側の状況があります。
気づけば、すでに「移民大国」となった日本。「政府も日本国民も覚悟を決めるべきときを迎えている」――。出入国在留管理法に詳しい山脇康嗣弁護士はそう指摘します。彼らはなぜ日本にやってくるのか。私たちがすべきことは何か。ネパール人の急増から浮かび上がる日本の課題について聞きました。
――ネパールからの留学生が増えています。
「日本が外国人労働者を受け入れるルートはこれから大きく二つに分かれるでしょう。工場や建設現場などで働く現業的な人材は技能実習制度を通して迎え入れるというのが一つ。もう一つは、専門的な技術や知識を持つ人材はまずは留学生として在留してもらい、その上で日本の社会になじんで日本に残りたい人は日本企業に就職して残ってもらう道です」
「だから、一定数の留学生が来るのは歓迎するべきでしょう。ただし、来日するまでに多額の手数料をとったり書類を偽変造したり、来日後の就労を縛り付けたりする悪質なブローカーが介在する事態は避けないといけません」
――「長時間アルバイトができて、お金を稼げる」という理由で日本を留学先として選ぶネパール人が多いようです。
「外国人が日本で適法に活動するには『在留資格』が必要です。日本でどういう仕事や活動ができるのかを示す法的地位です」
「留学生は『大学や日本語学校、専門学校で勉強します』という約束をし、留学という在留資格が付与されています。勉強するという本来の活動の妨げにならない範囲ならアルバイトを認めよう、そのぎりぎりは週28時間、というわけです」
「何時間まで認めるかは国によって違います。米国は外国人留学生のアルバイトを原則許していません。カナダもいろいろ条件があり、認められる場合でも時間は日本より短いです」
「日本では、日本語学校への…
- 【視点】
とても実情を踏まえたインタビューで、いかに日本の社会構造が、移民の入り方を規定しているかを考えさせられる。 全体を規定しているのは、実態としては全く専門性を重視していないのに、建前としては「技能実習」や「高度人材」といった名称で移民を
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