審神者「よし、まだ時間あるし江戸城内へ、」
歌仙「主」
審神者「ひぃっ?!」
歌仙「この本丸の危機的状況がわかっているかい」
審神者「(どうしよう、疑問形じゃない)」
歌仙「そんなに短刀達のレベリングがしたいのなら投石を詰んで大阪城へ行っておいで」
と、歌仙に大阪城地下へ閉じ込められた結果。
鯰尾「ほら、言ったでしょ。間違いなく毛利です」
審神者「カンストさせた毛利くんがレベル1に戻っちゃったのかな…?(震え声)」
骨喰「二振り目だ」
審神者「嘘だぁッ?!
だ、だって…だって、確率0.04%って噂が……。
……………私、死ぬの?」
骨喰「安心しろ、死にはしない」
鯰尾「ええ、
次の鍛刀キャンペーンで死ぬより辛い目に遭うだけです」
審神者「あぁ…(察し)」
審神者「…はー。
この雨は毛利藤四郎を探して大阪城を周回している審神者達の涙なのかな…。
雷まで鳴ってたし……、ただいま」
堀川「あ、主さん、おかえりなさい」
審神者「堀、川…くん…」
堀川「……?どうしました?」
審神者「……ぅ、うぅん、まさか君に最初に会えるとは思ってなかったから」
堀川「……ぁ、そっか。
すみません、僕じゃなくて鯰尾くん達の方が良かったですね。
待っていてください、今、呼んできます」
審神者「待って!」
堀川「……?」
審神者「あのね、君に…頼みがあるの。
極になって、私の堀川国広になってほしい」
堀川「………主さん…。
……本気で言ってるんですか?」
審神者「うん、本気」
堀川「どうして……。
鯰尾くんと骨喰くん…それに青江さんの許可だって下りたのに…。
なのに……どうして、僕なんですか?」
審神者「堀川くんが良いから。…それじゃあ、理由にならない?」
堀川「……どうして僕がいいんですか?
だって、鯰尾くんと骨喰くんのこと主さんはあんなに大好きで……。
二人だって主さんの刀として極になることを望んでいます。
青江さんだって、僕よりもずっと早くここへ来て活躍していました。
それなのに、僕が一番最初だなんて……やっぱり、かつて折れた僕のことを気にしているんですか?
主さんが最初に失った刀が僕だったから……だから、今回は最初に僕を選びたいと?
もしもそうだったなら、僕じゃなくて他の三人を選んであげてください。
じゃないと三人にも…昔、ここにいた僕にも、申し訳がないです」
審神者「………もう…その比較癖…君は山姥切国広ですか?」
堀川「ぇ…いや、そういうつもりじゃなくて。
……兄弟は関係ありません。
僕なりに考えて感じたことです」
審神者「くす、国広兄弟め。
……君達四人の修行許可が下りるかもしれないってわかった時、誰を最初にしようか悩んだよ。
一番最初に申し出てくれるであろう青江か、前々から極になりたいって何度も言ってた大好きなあの子達か。
………でもね、前提で堀川くんの極がほしいって気持ちが一番最初からあったの。
だから、それが私の気持ち。私は堀川くんの極がほしい、だから君に極になってほしい」
堀川「………………」
審神者「……ダメかな、堀川くん」
堀川「……えぇ、ダメです。こんなの全然ダメですよ。
だって…僕から言い出さなきゃいけないことを、主さんに頼まれたから行くだなんて格好悪いじゃないですか。
こんな旅立ち方じゃ、あとで兼さんに怒られちゃいます。
それに僕だって本当は……本当はあの三人に先を譲るなんて嫌だったんです。
だけど、主さんが大切に想っているのは鯰尾くんと骨喰くんってわかりきってるし。
青江さんは僕より早くここへ来て主さんを助けてきた、脇差の中でも特に腕の立つ刀剣男士です。
だから僕は出しゃばっちゃいけないって……ずっとそう思って、自分の想いを押し殺して………。
……………でも、その必要は…もう…ないんですよね…。
僕は…僕の為に、僕の望むように、この想いのままに行動してもいいんですよね……」
堀川「僕を修行へ行かせてください。
過去と対峙して、主さんの堀川国広になる為に」
審神者「ありがとう。
その言葉を聞くことができてすごく嬉しい。
修行道具は用意してある、旅立つ前に声をかけたい刀がいるのなら先にそっちへ、」
堀川「いえ、今すぐ発ちます」
審神者「……いいの?
和泉守とか山姥切国広とか山伏も今は本丸にいるよ?」
堀川「いいんです。
顔を見ると心配になって余計なことを考えちゃいそうですから。
主さんの顔だけ見られたらそれで十分……。
代わりと言っちゃなんですけど、僕がいない間、兼さんや兄弟達をよろしくお願いします」
審神者「うん、任せて。
……いってらっしゃい、堀川くん」
堀川「はい、いってきます。
…そうだ、これ、返さないといけないんでしたっけ」
(堀川は懐からお守りを取り出すとそれを審神者に手渡した)
堀川「主さん、今日まで守ってくれてありがとうございました。
必ず戻りますから、僕の帰りを信じて待っていてください」
審神者「……うん、待ってる。
私はここで待っているよ。
堀川くんが無事に帰ってきてくれるのを。
みんなと一緒に待ってるからね」
審神者「青江、遅い」
青江「おやおや、僕より早くここへ来た子がいたのかな?」
審神者「…………、…うん、いたよ。…堀川くんがいた」
青江「ふふ、そっか。
しかし運命を感じてしまうねぇ。
君と彼、堀川国広の想いが通じ合ったのかな?」
審神者「どうだろう。
…でも、そうだったならすごく嬉しい」
青江「じゃあそういう風に思っておきなよ。
運命とは自分に都合よく解釈する為にある」
審神者「えぇー…それって運命?」
青江「運命の活用方法の一つさ。
何かが起きた時、どうせならより幸せな解釈をした方が人生楽しくて得だろう?」
審神者「あはは、そうね。
…青江は修行、行きたかった?」
青江「うん、まあ、それなりに。
君は僕の戦を気に入ってくれてたようだし。
刀として期待に応えたいという気持ちはあるよ」
審神者「そっか。ごめんね、一番最後にしちゃう」
青江「……そんな事だろうと思った。
もとよりダメ元だから気にしないでくれ」
審神者「うん、気にしない」
青江「おやおや、即答かい?それは少々寂しいなぁ…」
審神者「だって脇差から順番に極にしないと…ねぇ?(刀装を青江に見せる審神者)」
青江「また君は軽騎兵を無理矢理僕に捻じ込むつもりかい…?」
審神者「これ重騎兵。
軽騎兵は最近使わないから全部解かして資源にしちゃった」
青江「あはは…体格に合わないものを強引に入れられて壊れてしまいそうだよ」
審神者「お守りいるー?」
青江「それは貰おうか。……え?本当にくれるの?」
審神者「うん、それ、青江にあげる」
青江「どうして急に…それにこれって、堀川くんの物では?」
審神者「あの子が帰ってきたら、お守り極をあげる。
だから、それは青江が持ってて。
最初にここに来てくれた脇差のように、次に来てくれた貴方がいなくなってしまわないように」
青江「………ありがとう。
後回しのお詫びではないんだね」
審神者「お詫びもほしい?」
青江「何をくれるんだい?」
審神者「うーん…そうだねぇ…。
………長谷部が肩叩きしてくれる主命券とかどう?」
青江「面白そうだから貰っておこうか」
審神者「わかった、後で作っておく」
和泉守「そうか…国広のやつが行ったのか…。
……どうりでさっきから静かだと思った」
山姥切国広「まったく…俺の兄弟はどうしてどいつもこいつも何も言わずにいなくなるんだ……」
山伏「カカカカ、寂しいのか兄弟よ」
山姥切国広「別に寂しいわけじゃない。
いつも黙っていなくなられると迷惑だと言っているんだ」
愛染「ちぇーっ、あいつだったんなら見送りしたかったなぁ…。
オレ、てっきり主さんは鯰尾か骨喰を行かせるんだと思ってたよ」
和泉守「それはオレもだ。
まさかあんたがあいつらを選ばないなんてな」
山姥切国広「そうか?
こいつは突然の掌返しは得意だぞ。
な?」
審神者「あはは~、山姥切国広のその視線、ゾクゾクしちゃうよ…!」
山姥切国広「亀甲貞宗のようなことを言うな」
審神者「お願い、彼と一緒にしないで。
…今回は全然そういうのじゃないからね?
私が堀川くんに行ってもらいたかったから彼を修行へ行かせたの!」
山伏「わかっておる。
今の兄弟は少々拗ねているだけだ」
山姥切国広「拗ねてない」
和泉守「にしちゃあ、顔がムスーッとしてるぜ」
山姥切国広「俺はもとからこういう顔だ」
愛染「堀川に次に会えるのは4日後か…」
和泉守「国広がどんな衣装を着て帰ってくるか楽しみだな、愛染」
愛染「おお!ま、どんな衣装でも俺の衣装にゃ敵わねぇけど!」
山伏「カカカカ、愛染国俊殿、和泉守兼定殿。
今後も我らが兄弟をよろしく頼む」
山姥切国広「……その…あんた達があいつと仲良くしてくれて…助かった。
今更だが、礼を言う」
愛染「は?礼?なんで?」
山姥切国広「…………」
和泉守「オレは何もしてねぇよ。
昔の主の縁を引き摺ってあいつがちょろちょろ付き纏ってただけだ」
山姥切国広「そうだとしても、あいつの居場所になってくれたことに感謝する」
山伏「この本丸は我ら全員の居場所。
されど、それを認められぬ者も多い。
貴殿らは我らが兄弟の心の整理が着くまで憩いの場であってくれた。
同じ堀川国広の刀として深く御礼申し上げる」
和泉守「よせよせ、堅苦しい。
何はともあれ、お前らも蟠りを改善できてよかったじゃねーか」
愛染「ああ。…あいつ、多分まだ自分を認められてない所もあるだろうけどさ。
そこんところは同じ刀派としてよろしく頼むぜ、山伏さん、切国!」
山伏「うむ、もとよりそのつもり」
山姥切国広「出来る限りは支えてやる。
だが…最後は常にあいつ次第だ」
和泉守「国広なら大丈夫さ。
なんつったって、このオレの相棒だからな」
山姥切国広「ふっ、付き纏ってるとか言う割にアンタも兄弟を特別に想っているじゃないか」
和泉守「いや、まあ…いると役には立つからな、あいつ。
……………ったく、帰ってくるまで不便になりそうだぜ」
審神者「あ、これ、堀川くんから和泉守に」
和泉守「ん?なんだこの袋?」
審神者「「僕がいないあいだ困った時に使えそうな物をまとめておいたよ」って、はい、これは愛染くんの」
愛染「は?オレのもあるのかよ?あいつ気ぃ使いすぎだろ(笑)」
山姥切国広「……そいつらのだけか?」
審神者「え?うん」
山姥切国広「………そうか」
山伏「気に病むな兄弟。
兄弟の分がないのは信頼されている証拠だ」
山姥切国広「別に気になんかしていない……」
審神者「大丈夫だよ、山姥切国広。
困ったことがあったら私がお世話してあげるからね!
手始めに今夜お布団ぽんぽんしながら添い寝してあげようか?」
山姥切国広「いらん!帰れ…!」