「どう撮ったのか」審査員も困惑 合成にしか見えない「自然」の写真
まるで別の世界に向かおうとしているかのような1羽のシラサギ。合成写真にも見えるこの1枚は、実は自然がつくりだした風景を切り取ったものだった。謎めいた構図はSNSで拡散され、海外でも反響が広がった。
撮影したのは、埼玉県三芳町の大野健一さん(79)。「狙って撮ったものではありません。自宅に戻って取り込んだパソコンの画面を見て、私もびっくりしました」。妻のタマ子さん(78)も一目見て「合成じゃないの?」と不思議がったという。
大野さんはこの写真を「隔たり」と名付け、昨年度の第39回「日本の自然」写真コンテスト(朝日新聞社・全日本写真連盟・森林文化協会主催)に応募。審査員から「どう撮ったのか、すぐには理解できない面白さがある」と評価されて特選を受賞した。
どんな場面を、どのように撮ったのか。
水辺にレンズ向け 自宅パソコンでみると
約10年前の退職を機に写真を始めた大野さんは、自宅から車で30分ほどの伊佐沼(埼玉県川越市)で、浮島に飛来するサギを待ち構えていた。ふと脇に目を移すと、エサを探して水辺を歩き回る1羽がいた。レンズを向け、20回ほどシャッターを押した。その中の1枚が、この写真だ。
青色とオレンジ色で左右が分かれ、さらに右部分は上下が分かれているように見える。大野さんは「パソコン画面で見たとき、右側は奥行きのある風景のようにも見えた」と振り返る。
実は、この右側の上の部分は…