昨日の投稿で、テニスのジョコビッチ選手が全米オープンで失格処分になった記事を取り上げました。
自身の劣勢に腹を立てて怒りに任せて放ったボールは、グランドスラム達成の目標を台無しにしてしまうという高い代償となってしまいました。
今日もこの話題に関する記事から引用します。
Tennis star Novak Djokovic is getting some tough love after an accidental ball flub got him tossed from the U.S. Open.
Fellow tennis great John McEnroe said Sunday that the Serbian pro would "be the bad guy the rest of his career" after he accidentally hit a line judge with a tennis ball Sunday in a stunning turn of events that saw him disqualified from the tournament in just his fourth-round match.
"The pressure just got to him, I think," McEnroe said on ESPN. "I think a lot’s been going on off the court, it’s obviously affected him. And now, whether he likes it or not, he’s going to be the bad guy the rest of his career. It’ll be interesting to see how he handles it."
(Melissa Leon. John McEnroe on Novak Djokovic's US Open disqualification: He'll 'be the bad guy the rest of his career'. Fox News. September 7, 2020.)
記事の冒頭部分ですが、
Tennis star Novak Djokovic is getting some tough love...
という部分の"love"は、愛情の「ラブ」ではなく、テニスのスコアでいう、零点(ゼロ)を意味しています。
なぜ"love"がゼロの意味になるのでしょうか?
これには諸説あるらしく、Merriam-Webster Onlineの解説が参考になります。
まず、テニスがフランスで生まれ、その後英国に渡ったということなんですが、フランスで卵を意味するl'oaefが、イギリス人には発音が似ている"love"と誤って解釈されたというものです。
卵の形状が数字のゼロを想起させる、ということなのですが、どうやらこれはいわゆる民間語源(folk etymology)というやつで、信憑性に欠けるということです。(何より、フランス語で卵が数字のゼロを意味するという根拠は乏しいようです。)
もう1つの説が、"love"はその本来の意味である「愛」のことであり、プレーヤーが得点や勝ち負け、賞のためではなく、テニスというスポーツそのものへの「愛」があればこそプレーする、というそのことから得点ゼロを"love"というようになったというもので、どちらかと言えばこちらの説が支持されているようです。
それにしても、テニスにおけるスコアリングというのは変わっているようで、1点目は"fifteen"(15)、2点目が"thirty"(30)、というそうです。
そして、3点目は「45」かというと、そうではなく、"forty"(40)、と言いますから、不思議なものです。
ジョコビッチ選手は今回の件により今年の全米オープンは4回戦目にして失格となってしまい、つまりは戦績を残すことが出来ず「ゼロ」になってしまいました。
今後のテニス人生を、テニスというスポーツに対する純粋な愛により取り戻すことができるでしょうか。
2020年9月8日火曜日
2019年7月8日月曜日
lob
このところイランと米国の関係が緊張を増していますが、昨日の朝刊ではイランが核合意を反故にしてウラン濃縮に着手し、核兵器に使えるレベルになる恐れがあるとの観測が記事になっていました。
トランプ政権は経済制裁を含む圧力をさらに強めていくようですが、緊張関係がさらに高まることで武力衝突が懸念されます。
President Trump lobbed a strong warning to Iran on Sunday after the rogue nation announced it had ratcheted up its uranium enrichment beyond the limit allowed by the 2015 nuclear deal with world powers.
“Iran better be careful. … Iran is doing a lot of bad things,” Trump said. “Iran will never have a nuclear weapon.”
Iran has said it was inching its program closer toward weapons-grade levels, while calling for a diplomatic solution to a crisis that has raised tensions with the U.S.
(Frank Miles. Trump: Iran 'better be careful' after backing away further from nuclear deal. Fox News. July 8, 2019.)
以前からトランプ氏や側近のポンペオ国務長官はイランに対して厳しい言動で批判してきたのですが、ウラン濃縮の動きを受けてやはりその舌鋒は鋭いものがあります。
引用した記事の冒頭ですが、
President Trump lobbed a strong warning to Iran
とある部分で、"lob"という動詞が使われていますが、これはテニスでいうロブのことです。
といっても、テニスをやったことがない私はそういう打球の表現があるということを知っているのすぎないのですが、ロブというのは相手側コートに弧を描いて到達させる緩球のことを指すそうです。
緩球ということは、強くはない、または激しくはない、ということになり、続く"strong warning~"とやや矛盾するようにも思われます。
引用した記事にみられるような比喩的な用法の"lob"の意味合いは手元の辞書には載っていなかったのですが、Merriam-Websterのオンライン辞書では、
to direct (something, such as a question or comment) so as to elicit a response
という意味が載っています。
トランプ政権は経済制裁を含む圧力をさらに強めていくようですが、緊張関係がさらに高まることで武力衝突が懸念されます。
President Trump lobbed a strong warning to Iran on Sunday after the rogue nation announced it had ratcheted up its uranium enrichment beyond the limit allowed by the 2015 nuclear deal with world powers.
“Iran better be careful. … Iran is doing a lot of bad things,” Trump said. “Iran will never have a nuclear weapon.”
Iran has said it was inching its program closer toward weapons-grade levels, while calling for a diplomatic solution to a crisis that has raised tensions with the U.S.
(Frank Miles. Trump: Iran 'better be careful' after backing away further from nuclear deal. Fox News. July 8, 2019.)
以前からトランプ氏や側近のポンペオ国務長官はイランに対して厳しい言動で批判してきたのですが、ウラン濃縮の動きを受けてやはりその舌鋒は鋭いものがあります。
引用した記事の冒頭ですが、
President Trump lobbed a strong warning to Iran
とある部分で、"lob"という動詞が使われていますが、これはテニスでいうロブのことです。
といっても、テニスをやったことがない私はそういう打球の表現があるということを知っているのすぎないのですが、ロブというのは相手側コートに弧を描いて到達させる緩球のことを指すそうです。
緩球ということは、強くはない、または激しくはない、ということになり、続く"strong warning~"とやや矛盾するようにも思われます。
引用した記事にみられるような比喩的な用法の"lob"の意味合いは手元の辞書には載っていなかったのですが、Merriam-Websterのオンライン辞書では、
to direct (something, such as a question or comment) so as to elicit a response
という意味が載っています。
2016年12月5日月曜日
やんわりと・・・ ― backhanded compliment
アメリカ次期大統領のドナルド・トランプ氏については、先月安倍首相が米国でスピード会談を実現しましたが、各国首脳による新しい大統領を”探る”動きが報じられています。
つい先日は台湾の蔡総統と電話会談したことが報じられ、中国が強く牽制しているという報道がありました。
下記の記事は、ロシアのプーチン大統領との関係についてのものです。
MOSCOW — Russian President Vladimir Putin delivered something of a backhanded compliment to Donald Trump on Sunday, saying the U.S. president-elect is smart enough to understand that he’s going to shoulder a whole new level of responsibilities come January.
“To the extent that he was able to achieve success in business, this shows that he’s a smart person,” Putin said in snippets of an interview with broadcaster NTV set to be aired in full Sunday evening. “And if he’s a smart person, that means that he will totally and quite quickly understand the different level of his responsibility [as a statesman]. We presume that he will act based on this position.”
(Andrew Roth. Putin just called Trump ‘smart,’ but it’s not entirely a compliment. The Washington Post. December 4, 2016.)
プーチン大統領によるトランプ氏に対する評が、"backhanded compliment"ということなのですが、この"backhanded compliment"の意味をご存知でしょうか?
"backhand"はテニスなどでのストロークでいう、バックハンド打ちのことなのですが、これは手の甲側でボールを返すことを指しています。
"backhanded"という形容詞としての定義になると、
ためらいがちの、躊躇した
といった意味の他、
(言動に)誠意が無い、皮肉を込めた
という意味になるそうです。
つまり、プーチン氏はトランプ氏のことを賢い(smart)と評したのですが、そこにはやや皮肉が込められている、ということです。
プーチン氏のコメントをもう一度見てみましょう。
“To the extent that he was able to achieve success in business, this shows that he’s a smart person,”
とある部分で、同氏のビジネスマンとしての成功を称えています。その後、
“And if he’s a smart person, that means that he will totally and quite quickly understand the different level of his responsibility [as a statesman]. We presume that he will act based on this position.”
とも述べ、ビジネスでの成功体験は政治家となる話は別物だ、というようなコメントになっています。
トランプ氏が外交政策などでどのように出てくるか不透明な状況にある中、「賢明なトランプ氏なら・・・」と持ち上げながら、その出方を牽制しているとも読めますね。
ところで、"backhanded"がなぜ皮肉や誠意の無い、といった意味になるのでしょうか?
バックハンドでないストロークは、手の甲側ではなく、手のひら側を前方に向けた通常のストロークということになります。この通常のストロークに比べて、バックハンドのストロークは威力がやや弱まるというのが基本的な考え方としてあります。
つまり、"backhanded"というのはキレとでも言いましょうか、強さや明確さといったものが欠けているということを言っているのですが、それが発展して"backhanded compliment"のような表現が生まれたのです。
日本語でやんわりと皮肉った、というような表現がありますが、それと同じような感じでしょうか。
つい先日は台湾の蔡総統と電話会談したことが報じられ、中国が強く牽制しているという報道がありました。
下記の記事は、ロシアのプーチン大統領との関係についてのものです。
MOSCOW — Russian President Vladimir Putin delivered something of a backhanded compliment to Donald Trump on Sunday, saying the U.S. president-elect is smart enough to understand that he’s going to shoulder a whole new level of responsibilities come January.
“To the extent that he was able to achieve success in business, this shows that he’s a smart person,” Putin said in snippets of an interview with broadcaster NTV set to be aired in full Sunday evening. “And if he’s a smart person, that means that he will totally and quite quickly understand the different level of his responsibility [as a statesman]. We presume that he will act based on this position.”
(Andrew Roth. Putin just called Trump ‘smart,’ but it’s not entirely a compliment. The Washington Post. December 4, 2016.)
プーチン大統領によるトランプ氏に対する評が、"backhanded compliment"ということなのですが、この"backhanded compliment"の意味をご存知でしょうか?
"backhand"はテニスなどでのストロークでいう、バックハンド打ちのことなのですが、これは手の甲側でボールを返すことを指しています。
"backhanded"という形容詞としての定義になると、
ためらいがちの、躊躇した
といった意味の他、
(言動に)誠意が無い、皮肉を込めた
という意味になるそうです。
つまり、プーチン氏はトランプ氏のことを賢い(smart)と評したのですが、そこにはやや皮肉が込められている、ということです。
プーチン氏のコメントをもう一度見てみましょう。
“To the extent that he was able to achieve success in business, this shows that he’s a smart person,”
とある部分で、同氏のビジネスマンとしての成功を称えています。その後、
“And if he’s a smart person, that means that he will totally and quite quickly understand the different level of his responsibility [as a statesman]. We presume that he will act based on this position.”
とも述べ、ビジネスでの成功体験は政治家となる話は別物だ、というようなコメントになっています。
トランプ氏が外交政策などでどのように出てくるか不透明な状況にある中、「賢明なトランプ氏なら・・・」と持ち上げながら、その出方を牽制しているとも読めますね。
ところで、"backhanded"がなぜ皮肉や誠意の無い、といった意味になるのでしょうか?
バックハンドでないストロークは、手の甲側ではなく、手のひら側を前方に向けた通常のストロークということになります。この通常のストロークに比べて、バックハンドのストロークは威力がやや弱まるというのが基本的な考え方としてあります。
つまり、"backhanded"というのはキレとでも言いましょうか、強さや明確さといったものが欠けているということを言っているのですが、それが発展して"backhanded compliment"のような表現が生まれたのです。
日本語でやんわりと皮肉った、というような表現がありますが、それと同じような感じでしょうか。
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