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2022年10月7日金曜日

cosmonaut

Space X社のロケットが10月5日正午(米国時間)、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられました。日本の若田光一さんら4名を乗せたクルードラゴンカプセルが無事、ISS(国際宇宙ステーション)とのドッキングに成功したと最新ニュースで伝えられています。


Four astronauts rocketed toward the International Space Station from a SpaceX ship Wednesday, including the first Russian to launch from the U.S. in 20 years, alongside NASA and Japanese astronauts despite tensions over the war in Ukraine.

The 230-foot Falcon 9 rocket blasted off at noon, taking NASA's Josh Cassada and Nicole Mann, Japan's Koichi Wakata, and Russia's Anna Kikina to orbit in a Crew Dragon capsule. The mission known as Crew-5 is SpaceX's sixth crewed flight under contract from NASA and eighth overall when including private spaceflights.

“We’re so glad to do it together," said Kikina, Russia’s lone female cosmonaut and the fifth Russian woman to rocket off the planet, offering thanks in both English and Russian. “Spasibo!”
(Emre Kelly. 'Instantly unites us': Russian launches to space from US, 1st time in 20 years, amid tensions over Ukraine. USA Today. October 6, 2022.)


乗員はNASAから2名の宇宙飛行士とJAXAの若田光一さん、そしてロシアの宇宙飛行士1名の計4名です。

ロシアとウクライナの戦争で緊張が高まっている中、日露米の宇宙飛行士共同のミッションがスタートしたとハイライトされています。

ところで、この件に関するCNNの記事では以下のようなくだりがあり、おや、と思わされました。


The crew members include astronauts Nicole Mann and Josh Cassada of NASA; astronaut Koichi Wakata of JAXA, or Japan Aerospace Exploration Agency; and cosmonaut Anna Kikina of Russia's Roscosmos space agency.
(Jackie Wattles. SpaceX capsule docks with space station carrying international astronauts — and 1 cosmonaut. CNN. October 6, 2022.)


NASAの2名と若田さんは"astronaut"で、もうひとりのロシア人宇宙飛行士は"cosmonaut"となっています。また、記事タイトルでも、


carrying international astronauts — and 1 cosmonaut


とあります。

はてな?"astronaut"と"cosmonaut"は意味が違う?

慌てて辞書を引いたものです。

どちらも宇宙飛行士の意味ではあるのですが、"cosmonaut"は「ロシア人の宇宙飛行士」を指すということでした。

これは知りませんでした。こんな記事に接することがなければ、"astronaut"、"cosmonaut"の別を特に気にすることもなく、読み飛ばしていただろうと思います。

ところで、"cosmonaut"は、宇宙、世界を意味するギリシャ語kosmosを語源とするロシア語kosmonavtがあって、それを英語に輸入したものだそうです。

一方、"astronaut"の方はというと、やはりギリシャ語astron(天体、星の意)が語源となっているのですが、こちらは"aeronaut"(飛行士)という単語になぞらえて生まれた造語らしく、1880年のフィクションで使われたのが最初だということです。(Online Etymology Dictionaryによる。)

ちなみに、これらの単語に共通する-nautという接尾辞は、船乗りを意味するギリシャ語nautesから来ています。


2020年10月16日金曜日

disinformation

スーパーチューズデーまで残り2週間とちょっと、というところで、民主党バイデン候補にスキャンダルが持ち上がってきたという様相です。

タブロイド紙のNew York Postが、バイデン候補の息子ハンター・バイデン氏の電子メールを入手し、2015年、ウクライナのガス会社の幹部とバイデン氏が会合した、と報じました。

ハンター氏が当該ガス会社の役員を務めていたことなどから、バイデン氏と幹部との会合は、バイデン氏のウクライナ政府への影響力を当て込んだものではないかと考えられているようです。

このPost紙の記事を巡っては、ツイッターやフェースブックが、記事へのリンクをSNS上でシェアできないように制限をかけたことで、大統領選候補者のバイデン氏に不利な情報を遮断しようとする情報操作、不当な検閲ではないかと批判が高まっています。


Joe Biden’s campaign is punching back at a New York Post story that alleged a direct link between the Democratic presidential nominee and his son's business dealings.

Top Biden advisers who staffed him during his vice presidency, citing their own recollections as well as a review of Biden’s official schedules, sharply rejected the Post’s suggestion that Biden met with a representative of Ukrainian energy company Burisma Holdings in 2015. And social media companies throttled sharing of the article on their platforms, fueling complaints from conservatives that information critical of the Bidens was being censored.
(Biden campaign lashes out at New York Post. Politico. October 14, 2020.)


トランプ陣営は鋭く反応し、攻勢をかけているようです。

ハンター氏の電子メールがこの時期に暴露されたという事実は、4年前(の大統領選)を彷彿とさせます。

ロシアによる大統領選への介入疑惑です。


The Post’s story drew immediate comparisons to 2016, when Russian hackers dumped troves of emails from Democrats onto the internet — producing few damaging revelations but fueling accusations of corruption by Trump.

There was no immediate indication of Russian involvement in the release of emails that the Post obtained, but its general thrust mirrors a narrative that U.S. intelligence agencies have described as part of an active Russian disinformation effort aimed at the 2020 election.
(ibid.)


今回の件にロシアが関与しているという証左はありませんが・・・。

記事に出てくる、


disinformation


という単語ですが、


false information deliberately and often covertly spread (as by the planting of rumors) in order to influence public opinion or obscure the truth
(Merriam-Webster Dictionary)


と定義されており、人や物の信用を傷つけることを目的とした、いわゆる情報工作のことを指します。

この"disinformation"とは別に、"misinformation"という単語もあります。

"misinformation"は誤った情報、ということになりますが、"dis-"との違いは、故意か否か、悪意があるか否か、といったところでしょうか。

接頭辞のdis-にしても、mis-にしても、否定や欠如などを意味するネガティヴな意味ですが、"disinformation"にはことさら否定的な意味合いが込められているようです。

あともう一つ、この"disinformation"という単語がロシア語から来ているとは知りませんでした。

ロシア語dezinformatsiyaを英語にしたものなんだそうです。

SNSを使った中傷など、ネット時代のならではの最近の話だから"disinformation"も最近の単語かと思ったら、第二次世界大戦の時からある単語なんですね。

当時から情報工作みたいなことは盛んだった訳で、ソ連のKGBがプロパガンダなどを流布する組織のことをこう呼んでいたそうです。



2020年1月13日月曜日

ukase

見慣れない単語ではないでしょうか。

知らない単語を目にした時に、その意味を探るのに使えそうなスペルの特徴も見て取れません。

きっかけはフィッツジェラルドの短編です。今年没後80年なんですが、昨年暮れくらいから読み直していたところでした。


In the Writers’ Building he went into the lavatory. Then he remembered: by some inspired ukase from above, all mirrors had been removed from the Writers’ Building a year ago.
(F. Scott. Fitzgerald. On the trail of Pat Hobby.)


“ukase”の意味は、


勅令、布告


という意味なんですが、語源はロシア語にあるそうです。


2018年12月21日金曜日

babushka

大きななニワトリの卵を割ったら、もう1つの卵が出てきた!というびっくりするような話です。


The babushka egg was laid by a free-range chicken at the Stockman's Eggs on the Atherton Tablelands, west of Cairns, in far north Queensland.

Farmer Scott Stockman said one of the staff found the egg and he was there soon after.

Mr Stockman said the egg weighed 176 grams, more than three times the size of an average egg.

And as for how the chicken is faring, Mr Stockman said "she would have had a pain in the bum".

When it was cracked, they discovered a second smaller egg sitting inside.

"It's just incredible actually — to have two perfectly formed eggs together," Mr Stockman said.
(Massive 'babushka' egg laid on far north Queensland farm never seen before by expert. ABC News. March 6, 2018.)


記事の写真を見ると、たしかに巨大な卵を割った中に普通サイズと思しき卵が入っていたようです。

記事ではこの不思議な卵のことを、


babushka egg


と呼んでいるようですが、学術的な用語かと思ったらそうではなく、"babushka egg"というのは我々もよく知っている、入れ子式になった民芸品であるマトリョーシカ(matryoshka)のことを言うようです。

ロシア語の"babushka"はおばあさん、老婦人、また女性が頭に被る三角巾(スカーフ)を指すそうです。

漠然とですが、太った、スカーフを被った大きなおばあさんのイメージがあります。入れ子になっているマトリョーシカはスカーフを被った少女だと思っていましたが、実のところは太ったおばあさんなのでしょうか!?


2018年9月11日火曜日

Katyusha rocket

イラクで発生している暴動を伝える記事から引用します。

カチューシャロケット(!?)なる爆弾があるそうです。初めて聞きました。


BASRA, Iraq -- Unknown assailants fired three Katyusha rockets at Iraq's Basra airport Saturday, an airport official said, after a chaotic and violent night that saw hundreds of protesters burning tires on main streets and highways and setting ablaze the Iranian consulate in the city. The protests in Basra are the most serious to shake Iraq's oil-rich southern Shiite heartland in years.

Protesters are calling for an end to endemic corruption, soaring joblessness and poor public services and have turned their rage on neighboring Iran, blaming its outsized influence in Iraq's political affairs for their misery.
(Katyusha rockets fired at Basra airport in Iraq after violent night of protests, official says. CBS News. Septmber 8, 2018.)


「カチューシャ」から最初に想起するのは、女性のヘアバンドでしょうか?あるいは、人気アイドルグループの流行歌の歌詞でしょうか?

"Katyusha rockets"をネットで検索してみると、多連装のロケット砲を指す呼称であることが分かります。

ウィキペディアの解説によれば、命中率は下がるものの、一度に多くのミサイルを敵地に打ち込んで敵を圧倒するのに役立つそうです。

何故に「カチューシャ」なのでしょうか?

ネットで見つけた、とあるソースによりますと以下のように解説されています。


The name “Katyusha” was not the official designation for the weapon — it was more of an affectionate moniker devised by rank-and-file soldiers. The original BM-13 launchers were manufactured at plant known as the Voronezy Komintern and accordingly bore a large “K” stamp on the side.
(Stalin’s Organ – 10 Things You Didn’t Know About Russia’s Katyusha Rocket. MilitaryHistoryNow.com. October 10, 2014.)


つまり、この多連装ロケット砲にはそれを製造していた工場のロゴマークの"K"が大きく刻印されていたのですが、それを兵士らが女性のファーストネームである"Katyusha"と親しみを込めて呼び始めたことから、それが定着した、という説があるそうです。

ロシア語を勉強したことのない人でもご存知かもしれないですが、英語名での"Catherine"(もしくは、Katherine)がロシア語では"Ekaterina"となり、さらにくだけたのが"Katyusha"です。

"Katyusha rockets"は第二次大戦当時にはドイツ軍を震え上がらせたと言われ、ミサイル発射時のうなる駆動音がオルガンの音のようにも聞こえたことから、"Stalin's orgel"の異名を取ったとも言われています。

"molotov cocktail"もご覧ください。


2016年10月17日月曜日

molotov cocktail

まずは記事のタイトルから引用します。ワシントンポスト紙からです。


Local GOP office struck by molotov cocktail in North Carolina


"molotov cocktail"という単語が何のことやら分かりません。知らないから仕方ないのですが、何となく単なる「カクテル」以上の意味があるように思い、記事を読んで見ます。


A local Republican Party office in North Carolina was damaged by fire and someone spray-painted an anti-GOP slogan referring to “Nazi Republicans” on a nearby wall, authorities said Sunday.

A news release from the town of Hillsborough said someone threw a bottle filled with flammable liquid through the window of the Orange County Republican Party headquarters overnight. The substance ignited and damaged furniture and the interior before burning out.
(Local GOP office struck by molotov cocktail in North Carolina. The Washington Post. October 16, 2016.)


果たして、"molotov cocktail"とは、"a bottle filled with flammable liquid"のことであろうと推測がついたのでした。

窓から投げ込まれたとあれば、これはまさしく火炎瓶の類ではないかと思って辞書を引くと、果たしてその通りでした。

"molotov"というのは、昔、1900年代始め頃のロシアの外務大臣であった、Vyacheslav Molotovのことを指しているそうです。

このMolotovは、ロシアによるフィンランド侵攻の際の外務大臣だったそうですが、当然と言いますか、当のフィンランド人には総スカンを食っていた訳で、ロシアの戦車めがけて投擲した手製の爆弾を"molotov cocktail"と呼ぶようになったといういわれがあるそうです。


 
  翻译: